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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~」 第二十九話

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「さすが高木くんね。その通りよ。鎌倉幕府当初は平家の土地を分け与えたから御家人たちは満足をしていた。やがて北条執権の時代になってくると分け与える土地が無くなって御家人たちに不満が出始めたの。北条家だけが良い思いをしやがって、という訳ね。その不満がやがて建武の新政に繋がってゆくの。蒙古軍の来襲は日本に再び天皇親政をもたらす結果となったということが重要なポイントよ」

「武士が日本を救ったのに天皇に政権を取り戻される結果となったことは面白いですね」

「そうね、まだ江戸時代のような封建制度の入り口にも立っていない状況だったと言う事ね。ここからは建武の新政という政変と言ってもいい変化についてその原因と結果を学びましょう。まず中心人物は誰かしら?」

「はい、先生。後醍醐天皇です」

「渡辺くん、正解!では、そのほかの人物が解る人?」

もちろん高木が手を挙げた。

「先生、足利尊氏と新田義貞、それに楠木正成です」

「そうね、正解よ。順を追って説明してゆきます。教科書には次のように書かれています」

*蒙古襲来は御家人たちに多大な犠牲を払わせたが、幕府は十分な恩賞を与えることが出来ず、御家人たちの信頼を失う結果になった。また御家人たちの多くは、分割相続の繰り返しによって所領が細分化されたうえ、貨幣経済の発達に巻き込まれて窮乏しており、蒙古襲来の影響は一層大きかった。
幕府は窮乏する御家人を救う対策を取り、1297年(永仁5年=えいにん)には永仁の徳政令を発布し、御家人の所領の質入れや売買を禁止して、それまでに質入れした御家人領を無償で取り戻させ、御家人が関係する金銭の訴訟を受け付けないなどの対策をとった。しかし、効果は一時的であった。(詳説日本史 改訂版 山川出版社)

「徳政令というのはいわば借金の取り消し令と言う事ね。いくら借金を棒引きしても根本的な解決とはならないから、御家人の力が回復することは無かったの。後醍醐天皇が倒幕を目指していた時代というのはこのような背景があったのね。だから成功したという訳。またね、武士だけじゃなく天皇家も問題を抱えていたの。それは相続問題よ。解る人いますか?」

「先生、南北朝時代へと向かう原因となったことですね?」

高木がそう答えた。
美穂は複雑な天皇家の相続問題を話し始めた。