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授業を終えて職員室に向かう美穂に高木が声をかけた。

「先生、聞いて欲しいことがあるのですが放課後に教室に来てもらえませんか？」

「あら、何の話かしら？いいけど、今日は行くところがあるので1時間ぐらいにしてね」

「はい、わかりました。ありがとうございます」

美穂は拓真がこの事を知っているのだろうか聞くことにした。状況次第では話せることと黙っておかないといけないことがあると感じられたからだ。

六時限目が終わって、職員室から美穂はラインを送った。
ほどなく返事が来た。

「知っているよ。二人のことは全部じゃないけど海斗は知っているから聞かれたら話してくれてもいいけど、その話じゃないと思うけどね」

「そう、話したのね。いずれ解ることだからいいけど、高木くんは何が聞きたいのだろう？」

「たぶん、高橋先生とのことだと思う。奴は悩んでいたから」

「うん、わかった。ありがとう」

予想通り高木は美穂に自分と高橋との恋愛に関する相談をしてきた。

「川野先生、つまらないことで時間を取ってもらってすみません」

「いいのよ。私で答えられることなら話すわ」

「加藤から少し聞いていると思いますけど、高橋先生のことで聞きたいことがあってお願いしました。ボクは真面目に考えているのですが、先生は方は受け取ってくれなくて。20歳の歳の差は女性にとって越えられない壁ですか？加藤との歳の差はどう感じているのか聞きたいと思います」

「そうね、私は14歳の歳の差を強く感じるわ。彼に悪いって思うの。今はいいけど将来ね、すぐにおばあちゃんになるじゃない？相手をしてもらえないんじゃないのかって不安なの。高橋先生にはその事と子供さんのこともあるから、さらに難しいと考えておられるんじゃないのかな」

「加藤は言っていましたよ、川野先生とは歳の差を感じないって。おれもね高橋先生とはそれほど感じないんです。傍目にはどう映ろうと、です。卒業して就職して親が反対しても収入があれば結婚できるって考えています。高橋先生が望めば子供だってまだ産めますから、決断は早い方がいいのかって思うんです。言われる通り問題は子供のことですね」

「高木くん、先生はあなたの気持ちに嘘が無いと思うし、高橋先生も好きなんだと思うけど、周りの反対を押し切って一緒になっても結婚生活は応援してもらえないと苦しいわよ。今は実家に居られるからいいけど、二人だけで暮らすとなると何かと大変よ。子供さんもこれから中学・高校と通わないといけないしね」

「川野先生はどちらかというと反対意見ですね？」

「反対というか、あなたが無理をするんじゃないのかって心配なの。高木くんのご両親も高橋先生のご両親も共に応援してくれる結婚なら私は賛成よ」

「加藤が羨ましいよ。先生の両親も賛成したのでしょ？」