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坂本 ゆかり
坂本 ゆかり
novelistID. 61632
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生きる意味・・ 実父親からの性虐待の心の傷

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「お父さんと話をしたけど、あなたが誘ったらしいじゃない。どうしてそんなことしてしまったの?私も大学生の頃、一度、自慰行為をしてしまって後悔したことがあるの。そのことを今でも恥ずかしく思い後悔してるの。だから誰にでも間違いはあるし、人には言えないことの一つや二つはあるのものなのよ。早く忘れなさい。お父さんはあなたが可愛くってあなたが他の男性を誘うようなことがあってはいけないからと自分がその役を仕方なくしたんだって。でもそれであなたが傷ついたのならごめんなさいって言ってたわよ。今回のことがお父さんじゃなく他人の男の人だったらもっと大変なことになっていたわよ。こんないのことは愛があってのことだからお父さんの気持ちもわかってあげて。許してあげて。この事が世間にバレてしまうと家族がバラバラになりあなたもお母さんもご飯を食べられなくなるから黙っとくのよ」私が予想していた結果ではなく父親を擁護する言葉でした。
確かにそこには愛があったと思います。でもその愛は娘を思う親の愛ではなく父親が自分に対する自己愛。自分の性欲を満たすためのものでしかありませんでした。そんな判断も中学生の私には出来ず、母親の言葉を鵜呑みにしてしまいました。
お父さんを誘ったのは私なのだ。私がSEXをしたいと思われていてそれに父親が付き合ってくれてたのだ。1番悪かったのは私だったのだ。地獄に突き落とされました。この時の母親からの言葉がこの先何十年も苦しみから抜けられない決定打となりました。
生きることへの絶望感で息をする事がやっとだった私には母親の言葉を冷静に対処できる観察力も洞察力もありませんでした。沸き起こる感情をうまく伝える言葉を知らなかった15歳の私は素直にその言葉を受け入れてしまいました。悪かったのは私なのだ。だから忘れなければいけない。許さなければいけない。確かに父親は無理矢理ではなかった。私は父親に生かせてもらう代わりに長い間身体を許してきた娼婦だった。もっと早くに嫌と言って家を出る勇気が持てなかった自分への惨めな気持ちや怒りや悲しみに手を余し毎日死にたいと思いながら泣きました。もう1人の自分にこの苦しみは私には受け止められない。頭が可笑しくなりそうだ。お願いだから代わって欲しいと頼みましたが、嫌だ!自分がしてきたことなんだから耐えろ!と言い代わってくれることはありませんでした。




再生

「メソメソしないで前を向いて歩きなさい!」
「悲しい事があっても笑顔でいなさい」と小さな頃から教えてくれていた母親の言葉を思い出しました。
泣き疲れた鏡の中の私はブスがよりブスになっていました。不幸そうな暗そうな顔。無理矢理笑って見せましたがその顔は口がへの字のままいびつな笑顔でした。周りの人に私の暗い部分を知られないために笑顔の練習をしました。割り箸を横にくわえて口角を上げる練習をしました。猫背になってどんより俯いて歩くのをやめる為に意識をして前を向くように努めました。親から離れて生活するためには私の世界を作らなければいけない。どんなに辛くても苦しくても夜になりまた明日がくる。私は強くならなければいけない。父親のことは大嫌い!あんな汚い人に自分の人生を狂わされてたまるものか!殺してやりたいけど、殺したら私が刑務所に入れられてそんなのおかしな話だ!そんな馬鹿なことはするな!と言い聞かせ私は前を向く決心をしました。
母親には明るく接するように努めました。笑顔も自然に作れるようになりました。高校を卒業するまで3年間この家での生活を我慢すれば自由になれると自分に言い聞かせてなんとか卒業まで通うことが出来ました。
卒業と同時に大阪で一人暮らしを始めました。大阪に出た私は職安に行き美容室に就職がきまりました。高校卒業してすぐの4月に就職先も決めず面接に来た得体の知れない私をとやかく事情を聞くこともなく快く雇って下さったオーナーに感謝します。