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てっしゅう
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「歴女先生教えて~」 第二十七話

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蒙古軍が日本を侵略しようとしたもう一つの理由として、豊富な金とあるものが欲しかったと美穂は話した。
そのあるものとは何かを質問したが誰も答えられなかった。

「では、ヒントよ。蒙古軍が襲来した時の様子を描いた有名な絵があるの。教科書に載っているから見て。黒い馬の前で何かが爆発している。これがヒントよ」

加藤が手を挙げた。

「わかったのかしら?では、加藤くん」

「爆発しているのは今で言うと手りゅう弾のようなものだと思います。日本にこの当時このようなものがあったとは思えませんので、この爆薬に関するあるものがひょっとして日本にあったのでしょうか?」

「正解ね。黒色火薬、まあ花火の親分ね。その原料は硝石と硫黄と炭だった。モンゴル帝国の支配領土に硝石と炭はたくさんあったのだけれど、硫黄は火山があるところでないと無いから、不足していたの。朝鮮半島の高麗を支配下にして日本の情報は手に入れていたから、更なる戦いのためにはどうしても近代兵器の火薬が必要だったのよ」

「爆薬をつくるために必要な硫黄を手に入れたいと、日本の侵略を考えたのですね」

「加藤くん、それだけではないけど、日本を侵略したいと考えた大きな理由の一つに硫黄があったことは否めないわ。もちろん金もよ。蒙古軍は中国の宋に攻め入って侵略して元という国家になった。旧都から南へ逃げて南宋となって抵抗していた反乱軍をやがて手中に収めると、そこの兵士たちを奴隷として日本攻撃に当たらせた。一方朝鮮半島経由で同じように奴隷として高麗人たちと併せて42000人の軍隊を率いて日本を再び攻めたの。これが弘安の役ね」

「蒙古軍の数は10万とも聞きます。大げさな数字なのでしょうか?」

「その答えは二手に分かれていたから、併せて10万人以上という計算ね。朝鮮半島から攻撃した東路軍は文永11年(1271年)に46000人で攻撃をして失敗をしていたから、今回は用意周到にしていたの。別動隊の中国南宋揚子江河口の慶元からは江南軍を指揮して約10万人が3500艘の船で出発をしようとしていたのね。しかし、間近になって指揮官が病に倒れ、出発に手間取ったため日本で先に出発した東路軍と合流するのが遅れたの。これが功を奏して今で言う7月の終わりごろに来た大型台風で壊滅的な打撃を受けて、およそ11万人が海の藻屑となった。その時に吹いた風は最大で55メートルほどの強さだったというから、木造船ではひとたまりもなかったでしょうね」

「神風神話はそこから来ているのですね」

「そうよ、加藤くん。日本は危機の時には神風が吹いて勝利するということがまことしやかに歴史的に刻まれたの。その最大の過ちが太平洋戦争ね」

「何故、神風などと言う言葉が使われるようになったのでしょう?」

「いい質問ね、これは推測になるけど、蒙古軍との戦いで勝利したのは誰?」

「武士です」