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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 6話から10話まで

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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (6)
 たまのほうが先輩?


 たまが春奴の家へふらりとやってきたのは、清子がやってくる
1ヶ月ほど前のこと。
面接も終わり、一ヶ月後に清子がやって来ることが正式に決まった。
ほっとした春奴がいつものように、お座敷の帰りの道を歩いていく。
60歳まじかになっても、春奴はいまだに現役の芸者だ。
その角を曲がれば自宅、というときだった。
ふと、子猫の鳴き声を聞きつける。

 「おや?。わたしを呼んでいるような、猫の鳴き声だ・・・・」

 珍しいことがあるももですねぇと、春奴が立ち止まる。
しかし。猫の姿は見当たらない。
『はて。そのあたりで鳴いていたような気がしましたが・・・』
そっと軒下を覗き込む。しかし、そこに猫の姿はない。
さらに近くの路地も覗き込む。だが、そこにも猫の姿は見当たらない。


 『あらまぁ変ですねぇ。姿がどこにもありません。嫌われたかしらねぇ』
もう一度、春奴が周囲を見回す。しかし。どこにも猫の姿はない。
あきらめた春奴が、誰も待っていない家に足を向ける。