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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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あの日、雨に消えた背 探偵奇談10

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「…おまえのそういう力も、前世の名残なのかもな」

別れ際、ぽつりと伊吹がそんなことを言う。

「じゃあまた学校でな」
「はい」

交差点で自転車にまたがり、別れた。

また会える。明日も。

明日目が覚めたら、何の前触れもなく、伊吹のことを忘れてすれ違うだけの存在になっている。そんなこと絶対にありえないのに。それでも不安になるのはたぶん、そういう別れを幾度も経験しているからなのだろう。魂が、覚えているのかもしれない。

「伊吹先輩!」
「なんだー?」

だから繰り返し名前を呼ばないと。
何度も顔を見ておかないと。

明日また、名前を呼べるように。呼んでもらえるように。

おぼえておいて、もらえるように。





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