「メシ」はどこだ!
第11話
店の電話が鳴り、美菜が出ると相手は鷹村だった。
「お父さん、鷹村さんから」
美菜から受話器を受け取ると泰造は
「はい、電話替わりました」
「鷹村です。明日の土曜の夕方に品物を運び出すそうです。そこにお義父さんが来るのかは判りませんが、連中が何をしているのかは判ります」
鷹村の声は落ち着いていた。嘘を言っている感じはしない。泰造は肚を決めて
「判りました。何時に何処に行けば良いですか?」
「そうですね午後二時に千住の市場の正面でどうですか?」
「判りました。その時間に伺います」
もう十二月も残り少ない。市場もあと数日すれば長い正月休みに入る。その前に……と言う事なのだろうかと泰造は考えた。そして美菜に何事か耳打ちをする。美菜は
「え、まさか……判った。事実を確かめてお父さんにメールすれば良いのね」
「うん。ご苦労さんだが頼む」
「じゃあ、お店は休みね」
「ああ、昼はやるけどな。そもそも土曜は暇だしな」
泰造はそれだけを言うと
「さ、風呂に入って寝よう。兎も角全ては土曜だ」
そう言って店から上がって風呂場に向った。その後ろ姿を見て美菜は何故、父親があんな事を自分に頼んだのか考えていた。
「ま、お父さんの考えが当たっていたらそれこそ問題だわ」
美菜もそれだけを呟くと自分の部屋に向った。