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てっしゅう
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「歴女先生教えて~」 第二十二話

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七月最終の週末に加藤の父親を訪ねた。
居間に上がって向かい合う二人はどちらから切りだすのか様子を伺っていた。
挨拶と世間話が済んで父親が切りだした。

「先生、今日は私の気持ちを聞いて頂きたくてお願いしました。お判りですね?」

美穂は隣に座っている拓真の顔を見てから父親に返事をした。

「はい、お父様のご心配は十分承知の上です。わたくしから申し上げなければならなかったことだったので、反省しています。拓真くんとは真剣にお付き合いさせて頂いています。こんな歳上の女をお嫁さんにというのはとっても厚かましいのですが、許していただけるならその前提でわたくしの両親にも紹介したいとこのたびの富山行きをお願いしました」

「拓真はあと一年半学校があります。卒業を待って結婚ということを考えておられるのですか?」

「拓真くんとお父様のお気持ちがそれで宜しければ、わたくしは早い方が嬉しいです」

「美穂先生、拓真はまだ子供です。先生の夫として物足りないと思いますが、なぜこのような話に進んだのか教えて戴けませんか?」

「拓真くんはお父様のお仕事を真剣に手伝いたいと考えているし、家事も少し手伝っているとのこと。子供ではないと私には感じられます。それに何より好きになったことが結婚したいと思う最大の気持ちです」

「拓真が先生のことを好きだということは見ていてよく解ります。父親として子供が遊ばれているのではないかと不安がありましたが、先生の気持ちを聞かせて頂いて安心しました。父親として息子を甘やかすことはしませんので、先生も大人としてどんどん注意や指導をしてやってください」

「お父様、お気持ちありがとうございます。私もお恥ずかしいですが初めての恋愛で拓真くんに夢中になっています。至らぬところは何でも話してください。よろしくお願いします」

美穂の言葉に父親は頭を深く下げてこちらこそよろしくと言った。
拓真はそれを見て安堵の表情になっていた。

「お父様、富山へは私が責任もって連れてゆきますのでご安心ください。費用のことは高校生の拓真くんに負担をかけることは出来ませんのでご心配はいりません。特別なことはしませんので、普段着で来てください」

「先生、ありがとうございます。今拓真にお金を持たせることは簡単ですが、それではこいつを甘やかすことになるので、夏休みに手伝った仕事の分だけやろうと考えていたバイト料を先に渡して持たせます。遠慮なく使わせてください」

「そうですか。拓真くんの思いに従います。出発は13日です。帰って来るのは15日夜になると思いますが、渋滞ためにこちらへ着くのが深夜になるかも知れません。その時は連絡します」

細かい打ち合わせをして美穂は加藤家を後にした。
自分の両親が了解してくれたら後は結婚へ向けて具体的な相談が始まる。
こんなに簡単に話を進めてしまって良いものなのか、不安が無いとはいえないが、美穂は加藤との縁を大切にしたいと自分に言い聞かせていた。