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学級長   あ!号令かけらんない!

デンジャーと金やんを除く一同、慌ててはける。
その際、学級長が奇声を上げていて、全員引く。

デンジャー がんばってー。
ミラコー  (走り去りながら)なんで?デンジャーはー?
デンジャー 自習組―。
金やん   気楽だねー。
デンジャー 今、作戦会議しようって言われても、絶対付き合わないからねー。
金やん   大丈夫だよ。あたしもそこまで暇じゃないんだから。
デンジャー へぇ―。
金やん   私、お手洗い。
デンジャー どうぞ。

金やん、はける。
別の位置から、桜井が入って来る。

デンジャー あれ?桜井氏いたん?
桜井    あ、はい、ちょっとお手洗いに。
デンジャー あ、そう。もうみんな、クラス戻ったよ?
桜井    あぁ・・・。
デンジャー 次なに?
桜井    自習です。
デンジャー そう。あたしも。一緒に行く?
桜井    あ、はい。
デンジャー そういや、金やんがまた放課後の会議やるってよ。
桜井    そうなんですか。
デンジャー 敬語やめろって。
桜井    すいません、癖です。
デンジャー まぁ、いいけどさ。で、会議来れる?
桜井    今日は、ちょっと・・・。
デンジャー そっか。あ、今日金やんがトーナメントのくじ引くんだけどさ、知ってる?
桜井    いいえ。今日だったんですか?
デンジャー うん。上手く弱そうなとこと当たるといいんだけどな。
桜井    大丈夫ですよ。皆さん、強いですから。
デンジャー いやぁ、でも初戦から高二同士でぶつかるのもアレだし、高三だとやっぱ不安だし・・・ここは、肩慣らしに高一がいいんだよね。
桜井    あぁ。
デンジャー 桜井氏もさぁ。
桜井    はい。
デンジャー チームの一員なんだから、もっと、積極的に会議とか来ていいんだよ?みんな来てるし。
桜井    ありがとうございます。
デンジャー それに、一緒の回に出るんだから、もっとこう――。
桜井    一緒の回?
デンジャー ほら、言わんこっちゃない。この前、前半五分で誰が出るーとか、そういうの発表されたじゃん。
桜井    あぁ、私、後半の最後の五分ですよね。
デンジャー イエス。試合が一番盛り上がるところ。
桜井    へぇ・・・。だとしたら、人選ミスじゃないですか?そんな回に、私が出るなんて。
デンジャー そうかなぁ?それ、あたしに言ってんの?
桜井    え?
デンジャー その回で、桜井氏と一緒がいいって言ったの、あたしなんだけど。
桜井    え、ごめんなさい。知らなかったから。
デンジャー 気の合う人とやった方が、楽しめんの。
桜井    気の合う・・・人ですか?私。
デンジャー いけない?あたし、静かな人結構好みなんだけど。
桜井    はぁ。
デンジャー まぁ、いいじゃん。桜井氏とやりたいんだよ、あたしは。
桜井    ありがとうございます。
デンジャー 他にはね、金やんとー、チーターとー、のんちゃんがいっから。
桜井    なんか、私だけ浮いてますね。
デンジャー そう?
桜井    どう考えても・・・あぁ、でも、バランス的にはちょうどなんですかね。
デンジャー なにが?
桜井    だって、私どう考えても最弱じゃないですか?それをカバーするには、それなりのメンバーが出る回じゃないと――。
デンジャー 違うよ。ただあたしが、桜井氏とやりたいって言っただけ。
桜井    そう・・・ですか。

少々の沈黙。

桜井    でも・・・無理ですよ、私。明らかに、格差あり過ぎですって。
デンジャー 格差って、そんな――。
桜井    下手なのは分かってます。だから、どうこう言おうとか、そういうことじゃないんです。でも、出たって何かできるわけじゃない。変えようと思って頑張ってみても、上手くなんかなれなくて、毎年そうで・・・。もう、自分にうんざりしたくないんです。ボール持っても上手く出来ないし。右に進もうとしたら、ボールが勝手に左行っちゃうし、ドリブルしようとしたら、ボールがどっかに飛んでっちゃうし。私、ボールを持つ権利すらないと思うんです。第一、何もしなくても、勝手に試合進んでくれると思ってバスケを選択しました。だからもう、皆さんとは次元が――。
デンジャー そんなことないよ。ボール持ったら、走ればいいの。迷ったら渡して、ゴール前なら打てばいいの。プレーすんのに、権利とかいらない。

桜井、戸惑いつつも、少々ののち退散。
立ち尽くすデンジャー。
その時、帰って来た金やんがデンジャーの肩をたたく。

金やん   格差ねぇ。
デンジャー ・・・。
金やん   リーダーとしては、聞き捨てならないねぇ。
デンジャー ・・・。
金やん   デンジャー?
デンジャー え?あぁ、うん。
金やん   不安なのはこっちよ。
デンジャー え?
金やん   大会までに、何とかしないと。色々とね。
デンジャー ・・・。
金やん   時々、恐くなるよ。
デンジャー なにが?
金やん   色んなプレッシャーに、押しつぶされそうで・・・。
デンジャー 金やん。
金やん   ん?
デンジャー 体、大丈夫?
金やん   え?
デンジャー あんま、無理し過ぎないでよ?
金やん   ・・・気にしてんだ。あの時の事。
デンジャー 別に、そういうわけじゃないけどさ。
金やん   ありがとう。でも、大丈夫。自分で、ちゃんと加減するから。

金やん、はける。
デンジャー、立ち尽くしたまま暗転。


第三場

教室。
放課後の会議。

のんちゃん 桜井さんは?
デンジャー、首を横に振る。
のんちゃん そっか。ごめんごめん。
デンジャー、頷く。
お嬢    なんか・・・うーん、そっか・・・。
デンジャー、頷く。
学級長   デンジャー、元気ないよ?どうかした?
デンジャー ん?ううん、別に。あ、ハッピー。ハッピー、おいで。
ハッピー  だから、犬みたいに言うな!
デンジャー ハッピ~、よーしよしよし。
ハッピー  言うな!
デンジャー あれ、ミラコーは?
学級長   御不浄に参られてよ。

全員、し~~~ん。

お嬢    え?・・・あ、あの、お手洗い。

全員、納得の声。

学級長   え?御不浄知らなかった?!今、最高峰にボケたつもりだったんだけど。
ミラコー  んー、最高峰に分かりづらいボケだったかなー。
デンジャー あ、ミラコー来た。
ミラコー  あれ、桜井さんいないんだ。
のんちゃん ごめん。その話題、さっき済んだ(笑)。
ハッピー  え?!御不浄って、トイレのことだったの?
デンジャー え、今?!
ハッピー  ええ~。
デンジャー 大丈夫。無教養が露呈しただけだ。
ハッピー  ヒドイ。事実だけどヒドイ。てか、デンジャーも知らなかったよね?
デンジャー ノーノ―ノーノ―。
ハッピー  嘘だ!絶対――。
デンジャー もー、“ダメ、ゼッタイ”みたいな言い方しないでー。
お嬢    みんな、女の子がトイレの話題で盛り上がんないの。
学級長   もうやめよ!言った私が非常に恥ずかしい。

金やん、チーターが入ってくる。

のんちゃん あ、お帰りー。くじどうだったー?
作品名:BELIEVE 作家名:安斎陽向