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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~」 第十九話

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「その通りよ。この間に勢力をのばしたのは源氏だけでなく双璧をなしていた平氏も国司となることで財を築くという方法で勢力をのばしたの。朝廷は国司への任命権を利用して、平氏と源氏をうまく使ってどちらかが大きな力を持たないように操作していたの。奥羽で発生した清原氏の内紛に端を発する前九年の役と後三年の役でも朝廷は意地の悪いやり方で介入した」

「結局東北を支配したのは清原清衡(きよはらきよひら)でしたよね。劣勢と言われていた清衡に八幡太郎義家が味方して勝利したと教科書に書いてあります」

「うん、後三年の役が収束して大活躍だった八幡太郎義家は鎮守府将軍(ちんじゅふしょうぐん=奥州の支配者)になれずに、朝廷から東北を離れろという命令が下されたの。その理由はきっと彼の能力を朝廷が警戒したのよね。この時の恨みが子孫の頼朝によって晴らされるの。清原清衡は姓を藤原と改めて(本当の父親の姓に改姓した)奥州藤原王国の基礎になったの。源氏にとって八幡太郎義家は英雄だから、その英雄が負った屈辱を源氏一族は受け継ぎ、一族の悲願だった奥州藤原氏に復讐したのね。義経が匿われたという縁も、頼朝にとっては好都合だったと言える」

「歴史は深いですね、先生。本当に因果応報です」

「うん、そうね。だから面白いのよ」

終わり時間の鐘が鳴った。
美穂は一学期末のテストに向けて職員室で残業する日々が続いていた。
今日も六時を回って用意していたパンを食べながら残業をしている亮や鈴村、それに高橋養護教諭らと雑談になった。

「美穂先生、夏休みの休暇はどうされる予定なの?」

高橋が聞いてきた。

「はい、実家へ帰省する予定です」

「そう、車買ったんですって?加藤くんのところで」

「ええ、ミニ買いました」

「外車ね~素敵だわ。結婚していると、そんなの買えないから羨ましいわ」

「安かったんですよ。ピカピカですけど中古車なんです」

「十分よ。車なんて一生乗れないから、買い替えてゆくのなら程度の良い中古車を早めに換えてゆく方が賢明だって夫も言ってたわ」

「そうなんですか、なるほどね。あまり換えるというのは好きじゃないですけど、故障して困るよりはいいですね」

「私は考えていることがあるので、実家に戻って少しゆっくりする予定よ」

「実家がやはり落ち着きますよね。高橋先生はどちらなんですか?ご実家は」

「うん、同じ名古屋市内よ。ここからは少し離れている北区だけど」

「近くていいですね」

「そうかしら・・・そうね、家からでも通えるしね」

その言葉と高橋の表情とで何か思惑があるんじゃないのかと美穂は感じ取った。