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Many thanks~詩集 紡ぎ詩Ⅷ~

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旅行の目的は主に彼女を訪ねるためであった
まさに「2012年」という文字がそれを物語っている
ちなみに「ほっぺ」はいちごブッセで
まろやかで控えめな苺クリームがサンドされていて
家族にも好評だった
よく綺麗な包装紙や菓子箱が捨てられず溜まってゆくというが
私の場合 まさにその断捨離できない類いである
昔懐かしい菓子箱を見ただけで
当時のセピア色の記憶が郷愁と共に蘇り
小さく首を振り 空き箱を元に戻そうとした
しかし その寸前 私はもう一度箱をまじまじと見つめる

ー想い出は色褪せないー
心のどこかから もう一人の我が声が聞こえてきた
13年前の輝いた記憶は私が生きている限りは
いつまでも消えることはないのだ
ならば
そろそろ これに別の役目を与えても良いのではないかと考えた
むしろ楽しかりし輝きを放った日々を象徴するものに
再び新しい生命を授け 我が作品として生まれ変わらせる
それも良いのではないか
心の声に従った

今 自分の眼の前には
色鮮やかなブルーの韓国伝統布で装飾された「本」がある
新しい生命を得た「2012年」の想い出の象徴が
また この瞬間から新たな人生の刻を刻み始める
これは断捨離ではなく
想い出の再活用リサイクルなのではないかと
深い海色の表紙を眺めながら 一人で悦に入る
何ということはないけれど
心踊る満ち足りた日々