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てっしゅう
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「歴女先生教えて~」 第十話

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拓真とのデートを終えて家に帰ってきた美穂はソファーに座って、しばらく考え事をしていた。それはこのままずっと拓真と付き合って結婚するのだろうか、と言う事だった。
やはり今はよくても14歳の年齢差は気になっている。
大好きになった拓真に浮気されたらきっと許せないだろうし、本当に惨めに感じるだろう。

普段は飲まないアルコールを口にしたくなった。冷蔵庫から缶チューハイを出して栓を抜く。

「あ~、美味しいわ。久しぶりに飲んだ気がする・・・」

テレビのスイッチを入れて何気に見ていると、夕方のニュースである芸能人の強姦致傷が報じられていた。相手は10歳以上年上の主婦だということ。なぜイケメンのモテモテの役者がそんな女性と関係を持ったのだろうかと疑問に感じたが、同年代の女性には無い色気のようなものがきっと感じられたのだろうと美穂は邪推した。

最近の男子は草食と言われて、積極的に女子を誘わないと聞こえている。だとしたら年上の女性が男性を誘って自分のものにするというカップルが増えても不自然ではないように思える。
自分は決して積極的な女ではなかったが、今日の態度を振り返ってやはり年上の女として拓真をリードしていると感じた。

次回からは彼のリードに任せようとちょっと反省をした。もし彼が求めて来たら、妊娠しないように避妊具の用意は自分がしておこうと通販で買うことにした。
生徒相手にここまで気持ちが強くなるとは思わなかったが、彼の真面目な態度に自分を預けてもいいんじゃないのかと、缶チューハイの酔いの勢いで考えていた。

月曜日が来た。
美穂は地味なスーツ姿に髪を一本縛りにして教室に入ってきた。

「起立!礼」

「おはよう。着席して。今日は前回の壬申の乱に続けて少し天皇家の後継ぎと結婚について話すわ」

「何か重要なことがあるのですか?」

「渡辺くんは、例えば自分が会社の社長だとして誰に跡目を譲りたいと考える?」

「そうですね~男の子が居れば、長男次男の順に役職を与えると思います」

「そうね、誰しもそうするよね。しかし、政治は個人の企業とは違って国民の生活がかかっているから、後継天皇の能力は問われるの。少なくとも藤原氏の摂関政治になるまではね。だから弟が長男より能力が優れていたり、違う母親の長男が優秀であったりすると揉め事になるの」

「天皇主権の絶対君主だとそうなりますね。きっと側近の応援がそれぞれに分かれて、力のある豪族が無理を推してくる可能性は考えられます。壬申の乱で勝利した大海人皇子(おおあまのみこ)の時はどうだったのですか?」

「いい質問ね。大海人は即位して天武天皇(てんむてんのう)になった。正妻の、うののさららとの間には草壁皇子(くさかべのみこ)が居たけど、精神的に弱くとても天皇になれる器じゃなかったの。違う母親の子供である大津皇子(おおつのみこ)は優秀で武芸にも秀でていて、天武の後は大津がふさわしいと誰もが考えたのね。これに猛然と反対したのが母親の、うののさららだった」

「草壁は精神病を演じていたと聞きました。それはなぜですか?」