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からっ風と、繭の郷の子守唄 126話~130話

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からっ風と、繭の郷の子守唄(126)
「桑の木を育てるための環境作りは、桑苗が育つ前からはじまる」

 桑を育てるうえで神経をつかうのが、農薬から桑を守ることだ。
桑を育てる畑はもちろん、近くにある野菜畑で農薬を散布してもいけない。
繭を創りだす蚕は、タバコや蚊取り線香の煙を吸っただけでも死んでしまう。
それほどデリケートで、繊細な生き物だ。
餌になる桑の葉は、農薬の無い環境の中でしか栽培することができない。

 桑の葉は春から秋にかけて成長する。
秋にすべての葉を落とし、厳しい冬の到来にそなえる。
桑の木を維持するための大切な作業として、葉が落ちてからの剪定がある。
冬の間にしっかり剪定しておかないと、翌春からの葉の成長にかげりが出る。
また桑の木は、たった1年間手入れしないだけで荒れ果ててしまう。
きわめてデリケートな木のため、冬のあいだの管理を欠かすことができない。


 ジングルベルの音色とともに、年の瀬がまたたくまに過ぎ去っていく。
門松が戸口を飾る新年を迎えると、群馬に本格的な降霜とからっ風の
季節がやって来る。
1月と2月の厳冬期。はぼ毎日のように畑が、霜によって真っ白になる。
白菜は、霜の害から内部の葉を守るため、すべてに『ハチマキ』がされていく。
頂点の部分を紐でキツく縛りあげ、厳冬期の凍結から内部を守る。
露地で栽培されているほうれん草やネギは、真っ白に凍てつきながら、
いつものように群馬の朝を迎える。