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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~」 第六話

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「これはこれは先生、いつも息子がお世話になっています。今日はご無理を聞いて頂いて本当にありがとうございます」

そう丁寧に挨拶をした加藤の父親はなかなかのいい男だった。親子は似るものなのだろうか。

「いえ、ご丁寧にありがとうございます。加藤くんのお家が車屋さんだと聞かされて、わたくしも近々欲しいなあと考えていましたので、良いご縁かと思いましてお邪魔させて頂きました」

「そうでしたか。さっそくですが息子に話しました車はこれなんです。先生のような女性にはピッタリだと考えましてお勧めしたんです。ご存知ですよね?ミニって」

「ええ、もちろんですわ。ミニでしたの、想像していませんでしたからビックリです。素敵な色ですね」

「うちで販売したのですが、先方のお嬢さんの留学が急に決まり、とりあえず乗る人もいないから売りたいと相談されて預かっているんです。なので、まだうちのものじゃないんですけど、金額はそのまま先方さんへ渡しますので、名義変更の手続き料だけ加算して戴ければ結構です。息子の今後もありますので、先生には気に入って頂ければお値打ちな買い物だと思いますよ」

「気に入りましたわ。こんな話もきっと何かのご縁よね。おいくらですの?」

「150です。新車の半額ぐらいだと思います」

「安いですね。是非契約させてください」

美穂は週明けの月曜日にお金は振り込むと約束して、契約を交わした。
ダークブラウンのミニが来週から美穂の所有となる。少しして加藤が美穂と父親のコーヒーを持ってきた。

「先生、どうぞ」

「ありがとう。気が利くのね」

「先生、こいつは母親が早くに死んで妹と二人私が育てましたので、何かと家のことはやってくれるんですよ。大学も行けと言ったのですが、家を手伝いたいと今の工業に入りました。先生のご両親は御健在ですか?」

「そうだったの・・・知らなかった。ええ、わたくしは富山ですが両親と祖母は健在です」

「時々帰られるのですか?こちらにお一人じゃご両親も心配されているでしょう」

「女の子は私だけなので心配はしているでしょうが、若い頃から人のいうことを聞かなかった性格なので、きっと諦めているでしょう」

「それはいけませんよ。このミニでぜひドライブがてら帰省されてください。車もご両親も喜んでくれると思います」

「そうですね。夏休みにでもそうしようかしら」

美穂は丁寧にお礼を言って家に戻ってきた。
加藤が家の手伝いをしながら学校に来ていると聞かされて、見た目と中身は違うんだと思わされた。
自宅でボーっとしていると電話が鳴った。

「はい、川野です」

「先生、先ほどはありがとうございました」

「加藤くん、お礼の電話くれたの?」

「いえ、それもありますが、頼みごとがあって電話しました。親父が居たので言いづらかったんです」

「何かしら?」

「車が届いたら、ドライブに連れて行ってくれませんか?ガソリン代は払います」

「何言っているの高校生が。どうしてそんな気持ちになったの?」

「先生が・・・好きです。真面目に考えています。すぐにじゃなくていいんです。仲良くしてくれたらうれしいなあって・・・こんなこと言っているボクはおかしいですか?」

美穂は予測していなかった言葉にちょっと心臓がドキドキしてくるのを覚えた。