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月とコンビニ
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不人 一人目 ~空と地面はくっつかない~

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過左原   あんたらは一体何なんだ!
渡   正直なところ、最初から全て我々に任せていただきたかった。
狩尾   邪魔者扱いしてくれるじゃねぇか。
渡   やつは「狂人」に指定されていた。
狩尾   「狂人」だと? そんなの見ればわかる、この異常な環境を見ればな!
渡   「狂人」は誰にでも対処は可能です。しかし、現場の判断は私がします。やつは「不人」の指定対象だ。
狩尾   不人?
過左原   なんだそれは。
渡   これ以上は極秘情報だ。本来ならその名称すら口外してはならないのだが、君らはこれから知ることになる。我々の本部でな。
常世田   やつが動き始めた!
渡   撃て! まずは動けなくするんだ! 君らは身をかがめておけ。

 ★渡が無線で伝えると、数え切れない銃弾が十五に撃ち込まれた。

十五   私は死なない。

 ★最後に言葉を残し十五は地面に崩れ落ちた。

渡   申し訳ないが、君たちもまとめて連れていく。

 ★前方からヘリが八機飛んできた。六機はバラバラの地点へハシゴを下ろし、各地に待機していた隊員を回収する。残りの二機は渡達のいる地点へ着陸した。
 地面に倒れている十五を厳重に縛り付け、積み込み、ヘリの内部では数人の隊員がサブマシンガンを構え十五を囲みヘリは離陸した。
 もう一機には渡が乗り込み、網を解かれた過左原、狩尾、常世田が連れ込まれていった。

狩尾   いてぇな!
渡   手荒で済まない。
過左原   説明をしてくれ。
渡   そうだな。

 ★全てのヘリが飛び去った街にはマネキンのように動かない人間が多数残された。地面に落下した銃弾は全て回収され、なくなっていた。

渡   これから私が言うことは口外してはならない。パニックになるからな。
過左原   それほどのことなのか。
渡   君らも知っての通り「狂人」という特殊な犯罪者の存在は世間に公表されている。
常世田   私も何人か逮捕したわ。
渡   「狂人」は意外と多いものだ。「不人」とは、その「狂人」が進化したものと考えてもらえればいい。
狩尾   進化って、どういう進化なんだ?
渡   焦るな。要するに、奴らは簡単には死なない。
狩尾   不死身ってことなのか?
渡   いや、違う。簡単には。ってとこが重要だ。奴らは殺せる。方法は少ないがな。
過左原   なんで不死身なんだ?
渡   わからない。人によって方法が違うようなんだ。
過左原   方法? 死なない方法があるっていうのか?
渡   死なない方法というよりは、治療する方法だな。意味不明な方法で異常な治癒力を発揮するんだ。たとえば、さっきの男。さっきから報告が入ってるが、やつの傷はどんどん塞がってきているらしい。
狩尾   まずいだろ! 大丈夫なのか。
渡   大丈夫だ。塞がるたびに撃っている。これは私の推測なのだが、やつは自分のキズと吹き飛んだ肉体を接着しているのではないだろうか。
狩尾   なんだそれは。
渡   さぁね。意味不明な治癒力をそれぞれが持っている。あるいは、「狂人」としての狂気がそうさせた。
常世田   異常すぎる……。
渡   それが「不人」だ。
常世田   そんな奴らがいっぱいいいたら……。
渡   そう、パニックだ。
過左原   理解し難いけど、理解したよ。それで、おれたちはなぜ連れて行かれるんだ?
狩尾   そうだな、その話をするだけだったら本部へ連れて行く必要はないはずだ。
渡   そろそろ秘密にもしていられない時期に来ているからね。少しづつ、知らせていかないと。
狩尾   それだけ?
渡   あとは、仲間がほしい。各地に大勢の情報を共有できる仲間がね。

 ★ヘリ八機は警官三人を連れ、街から飛び去っていく。

十五   私は死なない!!

 ★十五の叫び声の後、ダラララララララッっと連射音が聞こえた。