ピノキオは人間になりたくない
★ゼペットの目には作業台の裏まで、道具を使って案内されていることがわかった。その作業台の裏を見ると紙が一枚。
「ゼペットさんへ。僕のためにありがとう。でも僕はここでは暮らせない。やっぱり人間にはなりたくないから。だから、僕は脱走する! ピノキオ」
ゼペット そうか。出ていくかピノキオ。
★そう言ってゼペットは丸太の前に座り、ピノキオを作り始めた。自分の息子になってくれるように。と願いを込めて。
【10】ポリポリリポポイ刑務所
★警報の中ポリポリリポポイ刑務所を駆け抜けるミダッポ・ロロ。「おもちゃ箱」へ辿り着くとぬいぐるみの山に突っ込み、叫んだ。
ロロ ピノキオが逃げた逃げた逃げた逃げたん! 脱走したん! 絶対脱走したん!
★ぬいぐるみの山を掘り進めるミダッポ・ロロは奥にあるマイクを掴んだ。スイッチを全館放送に切り替え、力いっぱい叫んだ。
ロロ 全館に告ぐん! ピノキオNo,673は脱走したん! この世界から脱走したん!
★ミダッポ・ロロはピノキオNo,673を妖精界から脱走させてしまった。今ピノキオNo,673はどこにいるのか、ピノキオNo,673しかそれは知らない。
しかし世界は変わらずキャラクターを演じる。ゼペットはピノキオNo,674を制作し、ピノキオNo,674は人間になりたいと言い出すだろう。
世界は何も変わらない。この世界で唯一変化することは、ここ。ポリポリリポポイ刑務所での出来事のみである。
完
作品名:ピノキオは人間になりたくない 作家名:月とコンビニ