ピノキオは人間になりたくない
チョコ 逃げ、なくてもいいんだぁ。
ピノキオ なんで僕を捕まえようとしたの？
チーペル えっとぉ。
チョコ えっとぉ。
チーペル ゼペットさんに頼まれて。
チョコ ゼペットさんが悲しんでて。
ピノキオ ゼペットさんに言ったんだ。人間になりたくないって。
チーペル でもそれじゃあ、君は逮捕される。
チョコ だから僕らは言われたんだ。
チーペル ゼペットさんの悪い噂をポリポリリポポイに伝わるように流せって。
チョコ だから僕らは言ったんだ。
チーペル そしたらゼペットさんが
チョコ 逮捕されたぁぁ！
チーペル なんでぇぇ！？
チョコ それは
チーペル 君を守るためさ！
ピノキオ 人間になりたいわけじゃない。
チーペル ゼペットさんの噂は
チョコ ピノキオを人間にしたくない。
チーペル だから捕まった。
★その会話の最中に、ゼペットん家の扉がまた開いた。
ロロ ピノキオはここにいるーん。
ヴァブ ピノキオ坊っちゃんでておいで～。
チーペル 来たぞ
チョコ 来たぞ
ピノキオ 君たちは逃げて！
チーペル ごめんねピノキオ
チョコ 元気でねピノキオ
チーペル あ痛っ
チョコ あ痛っ
★裏口からファンファンチーペルとチョコラッキは出ていった。部屋の真ん中に立ち尽くすピノキオは堂々としていた。
家の中に入れないヴァブレァは外で待機しているようで、ミダッポ・ロロだけがゼペットの作業場に入ってきた。
ロロ ここにいると思ったよピノキオ。
ピノキオ 僕を捕まえるのかい？
ロロ ゼペットを解放したいでしょう？
ピノキオ 着いていくよ。さぁ、連れて行ってくれ。
ロロ 素直だね。
ピノキオ これでも人間を目指していたんだからさ。
ロロ 君が逮捕される理由はわかるかい。
ピノキオ 知らないよ。
★ミダッポ・ロロをめがけてピノキオの鼻は勢い良く伸びた。しかし、軽く避けたミダッポ・ロロは話を続ける。
ロロ 君は童話の秩序を乱したからだよ。ピノキオは人間を目指さねばならない。
ピノキオ 僕は人間になりたくない。
ロロ それでは童話のストーリーが崩壊するんだい！ それが妖精界の決まりごとなんだい！
ピノキオ 君たち童話のキャラクターじゃないんだからわからないんだ。
ロロ ぼくはこの世界のキャラクターだい。
ピノキオ そんなのおかしいよ！
ロロ うるさいうるさい、こっちに来い！ 鼻を戻せ！
ピノキオ わかったよ。
ロロ 行くぞい。ヴァブレァ、ピノキオを連れてくぞい！
ヴァブ 待ってるよ～。
ロロ 何故抵抗した。
ピノキオ 鼻が伸びただけだよ。
★ピノキオの鼻が少し伸びた。ロロはその鼻をノコギリで切り落とした。
ピノキオ わぁ。
ロロ 嘘をつくな。まぁ、いいやい。
【６】ポリポリリポポイ刑務所「拷問部屋９」
★ミダッポ・ロロとピノキオは拷問部屋９にいる。ピノキオは椅子に縛り付けられ指先から少しづつ切り落とされていた。
ピノキオ ロロ、ロロ、ミダッポ・ロロ。
ロロ 何度も呼ぶない。
ピノキオ ゼペットさんはどうしたの？
ロロ さっきまで隣の部屋にいたよい。
ピノキオ 今はいないの？
ロロ 解放されたと思うよい。
ピノキオ 僕がここにいるのは知らないの？
ロロ 知ってるさ。ポォポーポォが伝えてるい。
ピノキオ 来てくれないね。
ロロ そりゃそうさ。
★徐々に切り落とされているピノキオの身体は腕がなくなっていた。ミダッポ・ロロのノコギリはピノキオの脚へと移動する。しかし、自分のお腹に刺さっているノコギリが邪魔をしてミダッポ・ロロはうまくしゃがめずに手こずっていた。
ピノキオ 抜いたらどう？
ロロ え？
ピノキオ お腹のそれ。
ロロ ……。
ピノキオ 抜いたらどお？
ロロ うい。
★ピノキオに言われるまで、抜くという発想が無かったミダッポ・ロロは言われている意味がわからないのかピノキオを見ながらノコギリでノコギリを切ろうとしていた。
そして、気づいて抜いた。
ロロ うわ
ピノキオ うわ、ごめんね。
ロロ うわわあああああ！
★ミダッポ・ロロに刺さっていたノコギリを抜いたら、そこから胴体が真っ二つになってしまった。しかし不思議。ミダッポ・ロロは生きている。真っ二つになっただけで、生きている。
ロロ ちょっと待ってなピノキオ。
★そう言ってミダッポ・ロロは自分で自分の下半身を掴んで、歩く下半身に連れられ部屋を後にした。
【７】ポリポリリポポイ刑務所「拷問部屋８」
★ピノキオが捕まり拷問部屋９に連れられてくる間の出来事である。ゼペットとポォポーポォはヴァブレァからの無線でピノキオが捕まったことを知らされる。
ポォ ピノキオが捕まったにょ。逮捕だにょ。
ゼペット 捕まってしまったか。
ポォ これで君は開放だにょ。せいぜいキャラクターを守ってくれにょ。
ゼペット ピノキオはどうなるんじゃい。
ポォ ピノキオ次第だにょう。
★縛り付けられたゼペットはポォポーポォに解放され「拷問部屋８」から出ていく。
ポォ さぁ、帰りゅんだ。
ゼペット ピノキオに会わせてくれんか。
ポォ 会わせられにゃいにょ。ヴァブレァが帰ってきたら送らしぇるにょ。
【８】ポリポリリポポイ刑務所「拷問部屋９」
ロロ 待たせたなんピノキオ。
★胴体を繋いで戻ってきたミダッポ・ロロは「拷問部屋９」の椅子からピノキオがいなくなってることに気がつく。
ロロ 逃したん！ ピノキオが逃げたん！ ポォポーポォ！ 緊急警報だい！
ポォ 何があっちゃにゅだ、ロロ。
★「拷問部屋９」から飛び出してきたミダッポ・ロロに驚き、ポォポーポォは目を見開いて目玉が転げ落ちた。暴れまわる二つの目玉を追うポォポーポォと警報装置まで走り抜けるミダッポ・ロロはぶつかり、ポォポーポォの首が吹き飛んだ。
その首が警報装置に運良くぶつかり、警報装置が作動した。
うるさいくらいの警報が流れるポリポリリポポイ刑務所。バラバラのポォポーポォは自分を集め、それを吹き飛ばしながらミダッポ・ロロは「おもちゃ箱」へと向かっていく。
【９】ゼペットん家
★ヴァブレァに連れられ自宅へ戻ってきたゼペット。ヴァブレァの肩から降ろされた。
ヴァブ ピノキオ坊っちゃんは残念ね。
ゼペット 送ってくれてすまないの。
ヴァブ お仲間ですもの。ちゃんとしたキャラクターとは。
ゼペット 作業場に戻るよ。
ヴァブ お達者で。じゃあね。
★ポリポリリポポイ刑務所へ戻るヴァブレァと作業場へ向かうゼペットはその場で別れた。作業場に戻るゼペットは作業場が少し荒らされていることに気がつく。
ゼペット これは、ピノキオじゃな。この道具でメッセージを残してくれたようじゃ。
作品名：ピノキオは人間になりたくない 作家名：月とコンビニ