「歴女先生教えて~」 第五話
金曜日の二時限目は歴史の時間になっていた。
加藤は今日美穂から時間を聞かされるとワクワクした気持ちになっていた。
「起立!」
学級委員の渡辺の声に続いて全員が立って挨拶をした。
「おはようございます!着席」
「おはよう。元気があってよろしいわ~」
美穂は珍しくスカートを穿いて授業に来ていた。ミニではなかったが膝が見える程度のタイトなスーツ姿だった。誰かを意識したのだろうか、それとも穿いてみたかっただけなのだろうか。
「おい、加藤」
「なんだよ、高木。授業中だぞ」
「先生いい足してるな」
「お前は本当にスケベだな~」
「偉そうに、お前もそう感じているだろう?おれ知っているぞ、お前が先生のこと好きだっていううわさ」
「はあ?何それ」
「とぼけて、まあいいや。後で話そう」
美穂は高木を見て言った。
「おしゃべりは止めてね。では教科書の大化の改新と書かれてあるページを開いて。誰か何のことかわかる人いたら手を挙げて」
渡辺が挙手した。
「では渡辺くん、話して」
「はい、645年にそれまで権力を振るっていた蘇我入鹿(そがのいるか)を倒し、天皇中心の政権を作った改革です」
「そうね。正しくはその年は乙巳(いっし)だったので、乙巳の変と呼ばれる事件が中大兄皇子(なかのおおえのみこ)側の勝利となり、蘇我氏は政権から脱落したの。入鹿はその父蝦夷(えみし)から無謀を止められていたんだけど、天皇だった皇極女帝と怪しい関係にまでなるほど深く入り込んで、政を牛耳っていた。これに危機を感じた息子の中大兄皇子が中臣鎌足(なかとみのかまたり)と組んで、宮中行事のさなかに暗殺したの」
「先生!そんなに簡単に暗殺が行えたのですか?入鹿もボーっとしていたわけではないですよね?」
「そうね、日本書紀の記載から見ると、芝居を打って入鹿を安心させ、持っていた刀を預からせたとあるけど、さて本当かどうかは解らないね。かなり強引に殺してしまったと私は考えるけど、入鹿はそれほど傲慢でもなく酷い男ではなかった節があるの。きっと中臣鎌足(後の藤原一族の頭領)が自らの権勢欲から中大兄皇子を騙して誘って実現したと考えるわ。母親だった皇極天皇も息子中大兄にどうしてこんなことをするの!と声を露に言ったとされているしね」
「ボクたちは蘇我氏一族が悪者で、中大兄と鎌足は正義の味方と習いました。それは本当ではなかったのですか?」
加藤は今日美穂から時間を聞かされるとワクワクした気持ちになっていた。
「起立!」
学級委員の渡辺の声に続いて全員が立って挨拶をした。
「おはようございます!着席」
「おはよう。元気があってよろしいわ~」
美穂は珍しくスカートを穿いて授業に来ていた。ミニではなかったが膝が見える程度のタイトなスーツ姿だった。誰かを意識したのだろうか、それとも穿いてみたかっただけなのだろうか。
「おい、加藤」
「なんだよ、高木。授業中だぞ」
「先生いい足してるな」
「お前は本当にスケベだな~」
「偉そうに、お前もそう感じているだろう?おれ知っているぞ、お前が先生のこと好きだっていううわさ」
「はあ?何それ」
「とぼけて、まあいいや。後で話そう」
美穂は高木を見て言った。
「おしゃべりは止めてね。では教科書の大化の改新と書かれてあるページを開いて。誰か何のことかわかる人いたら手を挙げて」
渡辺が挙手した。
「では渡辺くん、話して」
「はい、645年にそれまで権力を振るっていた蘇我入鹿(そがのいるか)を倒し、天皇中心の政権を作った改革です」
「そうね。正しくはその年は乙巳(いっし)だったので、乙巳の変と呼ばれる事件が中大兄皇子(なかのおおえのみこ)側の勝利となり、蘇我氏は政権から脱落したの。入鹿はその父蝦夷(えみし)から無謀を止められていたんだけど、天皇だった皇極女帝と怪しい関係にまでなるほど深く入り込んで、政を牛耳っていた。これに危機を感じた息子の中大兄皇子が中臣鎌足(なかとみのかまたり)と組んで、宮中行事のさなかに暗殺したの」
「先生!そんなに簡単に暗殺が行えたのですか?入鹿もボーっとしていたわけではないですよね?」
「そうね、日本書紀の記載から見ると、芝居を打って入鹿を安心させ、持っていた刀を預からせたとあるけど、さて本当かどうかは解らないね。かなり強引に殺してしまったと私は考えるけど、入鹿はそれほど傲慢でもなく酷い男ではなかった節があるの。きっと中臣鎌足(後の藤原一族の頭領)が自らの権勢欲から中大兄皇子を騙して誘って実現したと考えるわ。母親だった皇極天皇も息子中大兄にどうしてこんなことをするの!と声を露に言ったとされているしね」
「ボクたちは蘇我氏一族が悪者で、中大兄と鎌足は正義の味方と習いました。それは本当ではなかったのですか?」
作品名:「歴女先生教えて~」 第五話 作家名:てっしゅう