レイドリフト・ドラゴンメイド第21話 シルエットは天使と悪魔
ボルケーナは必至でバリアを張ったそうだが、レミは、体の半分以上を焼かれた……。
ボルケーナは怒ったが、レミの命を救わなくてはならない。
義体に使うため、聖樹の枝を急いで食いちぎると、地球へ帰った。
それ以来、レミは故郷へ帰っていない】
次に見たのは、川下。
あのジープとロボットがきた方角。
そこで川は二手に分かれ、間は巨大な島になっている。
島のまわりには、輪中と呼ばれる川の水を防ぐ堤防。
そして、高圧電流の流れた大きな柵が並んでいる。
宇宙人居住区。
チェ連を、スイッチアを訪れた異星人が、捕まり、おしこめられた場所。
収容所。そんな言葉が一番しっくりくる。
その河の浄水場側に、フセン市役所も地球人の主力もある。
そして宇宙人居住区へかかる一本の橋。
その周りが、最大の激戦地だった。
地球人は、とらわれた異星人を保護し、地球まで連れ帰ろうとしている。
それが異星からの支援を取り付ける条件だからだ。
一方のチェ連人は、異星人が帰り、恨みを持ってチェ連を語ることで、さらなる戦乱が起こるのを恐れている。
チェ連の基本戦略は、宇宙人がスイッチアから出て行きたくなるまで攻撃する。という物だからだ。
収容所へかかる他の橋は、落とされた。
チェ連では、橋やトンネルのようなインフラは、敵に使われないようにすぐに破壊できる構造になっている。
だが激戦地の橋は、設計が古すぎて頑丈にできている。
これは、生徒会のつかんだ情報だ。
そこを地球側は確保し、今は異星人をのせた輸送車が次々に走り出している。
今でも火の手が増えている。
黒煙は雨に逆らい、どこまでも伸びていく。
その中で地球の戦車が、消火栓に体当たりしてへし折っている。
そのたびに新たな水が噴きだす。
【それでも、焼け石に水じゃないか! くそっ! 】
ドディの心に、無力感が広がる。
やがて、ドディは上昇を止めた。
そして、全身からジェットを放ち、がけから落ちるよりも早く、追手めがけて降下した。
雨水は一瞬で蒸発し、痛さは無かった。
作品名:レイドリフト・ドラゴンメイド第21話 シルエットは天使と悪魔 作家名:リューガ