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てっしゅう
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「歴女先生教えて~」 第三話

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「ええ、あなたはとても美人ってみんなが言ってるし、その通りだと私も思っているから、まさかって思ったの」

「加藤くんにも同じように言われました。恥ずかしいけど嬉しいような、お世辞のようにも聞こえるし複雑です」

「ううん、亮先生だって今日誘いたいと言い出したことは、あなたに魅力があるからなの。でしょ?先生?」

「鈴村くんまで、ボクを貶めようとしているのは心外だね」

「まあ、言い合っていてもいけないから、その辺にして今日は楽しくお話して、食べて帰りましょう」

高橋のまとめで、四人は学校の行事やこれからのことをいろいろと話し始めて二時間ほどで解散した。

自宅に帰る途中でコンビニに立ち寄ってパンと牛乳を買ってレジに並んだ美穂は、後ろから呼び止められた。

「美穂先生!」

振り向くとそこには先ほど話題に出ていた加藤が立っていた。

「あら、加藤くん、家近くなの?」

「先生こそ近くなんですか?」

「うん、ほらあそこの11階建てのマンションよ」

「へえ~金持ちなんだ」

「そんなことないわよ。教員なんだから」

「俺んちは反対方向なんだけど、次の交差点を右に曲がったところにある修理屋だよ。車も売っている。先生車乗っているならなんかあったら持っておいでよ。親父に言って安く修理するから」

「そうなの。自動車の修理屋さんなの。じゃあ二代目ね。それで工業に来ているのね」

「うん、こんなところで会えて何だか嬉しいよ」

「そうね。車は持ってないけど買いたいなあ~とは考えていた。その時が来たら相談させてもらうわ」

「ぜひ、待ってるよ。じゃあこれで」

「明日学校でね。バイバイ~」

美穂は加藤のさりげない態度に好感を持った。よく見ると背も高いし、イケメンだ。
年齢が近ければドキッとしていたかも知れないと思った。

「おはようございます。さて、宿題はやってきましたか?」

教壇に立った美穂は前回に与えた宿題、「明治維新をどのように考えているか?」の答えを順番に答えるように指示した。

圧倒的に江戸幕府という封建体制を民主的な議会政治へと改革した歴史的意義を述べる意見が多かった。
高木が答える番になって美穂は少し期待した。

「次は、高木くんね」

「先生、勝てば官軍という言葉はこの時に出来たのですね?ということは負けていたら賊軍ですよね。それまで政権を担っていた徳川幕府が賊軍になるとはどうしても納得がゆかないのです。最大の理由は大政奉還をした徳川慶喜を何故追い落とさなければならなかったのかと言う事です」

「良い答えだと思います。まず、徳川幕府は何か都合の悪いことを行ってその責任を大政奉還という形で償おうとしたのかしら?解る人います?」

「先生、それは外敵に対して公武合体で乗り切ろうとしたのではないでしょうか?」

「さすが渡辺くんね。大の外人嫌いで有名だった時の天皇、孝明天皇はさすがに攘夷だけでは乗り切れないことを悟り始めたの。公武合体で政をしようにも自分たちには政治をする能力が欠けていたから、大名を集めて合議制でいろんなことを決定して難局を乗り越えようとしたんだね。その中心に徳川慶喜が居た。しかし、これに反対する勢力が現れたの。あくまで徳川家中心ではダメなんだという主張だったの。それは公家の中でもうだつの上がらない三条や岩倉も仲間に引き入れてやがて大きな勢力となって対抗してゆく」

「岩倉具視や西郷隆盛などが幕府転覆をどうして果たすことが出来たのでしょう?」

それは高木が教科書からでは納得のゆかない疑問だったようだ。