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てっしゅう
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「歴女先生教えて~」 第三話

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美穂は学校から徒歩で10分ほどのマンションに住んでいた。実家は富山で愛知県の教員採用試験を受け合格して、数校を歴任して今回初めて男子校の社会の担任となっていた。

住まいの近くを希望校として伝えていたので、男子校でも良いのかという問いに「イエス」の返事をしていた。
名古屋市内の比較的繁華街に学校はあった。
美穂は買い物に近くのスーパーへ出掛ける。気にはしていたが生徒や同校の先生と出会う機会は無いとは言えなかった。

初日の授業が終わって、連絡事項の整理をして、退校しようとすると同じ教師仲間の数人に食事に誘われた。断るわけにはゆかない。

「ねえ、美穂先生、私たちこれから食事をしようって話し合ったんだけど、ぜひあなたも誘いたいと亮先生が言うものだから声掛けたの。いいよね?」

「あ、はい。予定はありませんのでご一緒させて頂きます」

「そう、良かった。では行きましょう」

美穂を誘ったという亮先生とは独身男性の英語の教師だった。
他には独身女性教師一人と結婚している保健室の養護教諭一人というメンバーで、おしゃべりできるファミレスに入った。

「ねえ、美穂先生。今日の授業はどうでしたの?生徒たちに変なこと言われませんでした?」

「変なこと?別に聞かれませんでしたが・・・」

「が?何?」

「ええ?いえね、私に恋人がいるのかと聞かれました」

「やっぱりね。それって加藤くんでしょ?」

「そうです。高橋先生も聞かれたのですか?」

高橋という30代後半の養護教諭も自分に同じようなことを聞いてきたと話した。

「そうですか。クラスの高木くんというのが、そのう保健室に良く行くと加藤くんが話していました」

「高木くんね。仮病なのよ。成績良いのにサボり癖があって、教務主任も嘆いていたわ」

「思春期の男性はよくわかりませんね。あまりプライベートな部分には入りこまないようにしたいです」

「そうね、それがいいわよ。あなたは美人だから彼らは気になっているでしょうけど、あくまで教師としての立場を貫くのよ」

「もちろんです」

「ところで美穂くんは、彼は居るのかね?」

「あら、亮先生、そんなこと聞いてどうされようと思っているのですか?」

「高橋先生、変な誤解を受けるようなことは言わないでよ。普通に気になったから聞いただけなのに」

「亮先生、女性にそういうこといきなり聞くものではないのよ。だからあなたは彼女が出来ないんじゃないの?」

「それは言い過ぎだよ。相変わらず奥様は厳しいね」

「独身でなくて悪かったわね。美穂さん、真面目に答える必要なんてないのよ」

「亮先生。私に彼はいません。というかこれまで誰ともお付き合いをしたことが無いんです。オタクと言いますか、歴女とか呼ばれてきました」

「そうなんですか!」

甲高い声を上げたのは工業高校に居る二人の女教師の一人、美穂と同年の鈴村だった。

「鈴村先生、そんなに驚かれることでしたか?」