映画 戦国生徒会
(木田博之) 「意識してたって、どういうことですか」
(中川豊) 「実は、この映画の撮影がきっかけで、二人は付き合うことになったんですよね?」
(佐藤千鶴) 「ええーーー!?」
思わずマイク越しに、大声を上げてしまう千鶴。博之は慌てて中川に顔を突き出し、声を押し殺して、
(木田博之) 「何言ってんの!? そんなことバラさなくったっていいでしょ!」
(会場) 「おおーーーーーー!!!」
博之の小声は、マイクを通して会場中に響き渡っていた。
(中川豊) 「それでは、その辺にも注目して、この映画をご覧ください。『戦国生徒会』上映開始します!」
照明が消され、ざわつく会場の大画面スクリーンに、その映画は映し出された。
「木田! どういうこっちゃ?」
と事情を知らないクマ先生の声が、会場に響いていた。
この時、香織は後方の席に座って観ていた。すでに津田から、博之と千鶴の交際を知らされていたが、この時の心臓の鼓動は高鳴っていた。
恵美莉は、その香織の様子を斜め後ろから見た後、隣に座る颯介にもたれかかった。そして、ステージ横でクマ先生に捉まる博之を見て微笑んだ。
やがて、映画は大盛況の内、幕を閉じた。
午後の部では、主演二人のスキャンダルが、更に多くの観客を呼び寄せ、小講堂の通路や壁際にまで、立ち見客が入った。
(中川豊) 「これじゃ、続編作っても、成功しそうだな」
(近藤彰正) 「ああ、いいかも知れないな」
(佐藤千鶴) 「あの、私はもう引退しますよ」
「よっ! ニセ会長!」
文化祭以降、博之にまた新しいあだ名が出来て、こう呼ばれることが増えた。
それからの数日というもの、脱力感で映画スタッフは、外階段下倉庫で何をするということもなく集まって、ボーっと時間を過ごしていた。そこへ津田が来て、演劇部の中に新たに『映画研究会』が設立されることが承認されたという報告をした。
スタッフの目に、また生気が戻った。
(福田悠人) 「佐藤さん。続編撮ろうぜ」
(佐藤千鶴) 「もう恥ずかしいー。今度は男子だけで撮って」
(近藤彰正) 「女子も手伝ってくれるんだよな?」
(津田柚華) 「はいはい。分かってますって」
(山崎凜花) 「本業のクラブより、面白くなってしまったもんね」
(金城ミリア)「さあ、カメラの準備、準備」
(桐谷修斗) 「今度は、存在感のある映像を撮るよ」
(野崎賢斗) 「次は、俺も出たい!」
(木田博之) 「他にも協力してくれるヤツが増えそうだし、もっと大作が撮れるさ」
(杉田時生) 「じゃ、キッドのスタントを活かして、アクション映画なんかどう?」
(椋ノ木優愛)「あは、私その方が好き!」
(中川豊) 「じゃ、それはまた、次回作で」