映画 戦国生徒会
第31章: 交際宣言
少し前の楽屋での展開はというと。いきなり興奮して、けんか腰になってきたので、死神さんは冷静になるために、千鶴と博之をパイプ椅子に座らせ、二人の交際について詳細を確かめていた。でも結局、死神さんは千鶴を渡さない。博之も千鶴を離さない。話は延々と平行線になり、少々エキサイト気味になって、博之は、また立ち上がって話し出した。
(木田博之) 「俺は元カノとは、ちゃんと別れたし、今日は約束してた試合の応援に行っただけだ」
(死神さん) 「それがワシとどう違うんじゃ!」
(木田博之) 「佐藤が元カノを気にしてるから、ケジメをつける意味で、元カノを避けたりしないで、佐藤と堂々と付き合えるようにしたいだけだ。同時並行で付き合うためじゃない!」
(死神さん) 「それならワシも一緒じゃ。今は千鶴のために整理したわい」
(木田博之) 「実際に何人も女がいたあんたと、一緒にしないでくれ!」
(死神さん) 「そんな何人もおらん!」
博之と死神さんは今にも、掴みかかりそうな勢いになってきた。
(佐藤千鶴) 「追っかけの娘が、ゼンギョーちゃんのこと自分の彼氏だから、手出すなって言ってきたもん。はぁ? って感じだったけど、よく話聞いたら、他にもいっぱい付き合ってるっていうじゃない。どれが本命かなんか、もう関係ないレベルよ!」
(死神さん) 「誰が千鶴にそんなこと言ったんだ?」
(木田博之) 「そんな、誰か分からないくらい、大勢いるんですか?」
(死神さん) 「そんなん、おらん!」
(佐藤千鶴) 「いるに決まってる!」
(死神さん) 「向こうから近寄ってくる、ただの追っかけや!」
(佐藤千鶴) 「じゃ、私もそうだったじゃない!!!」
千鶴の声は、泣きそうな叫び声だった。
それを聞いた博之は、死神さんの革ジャンの胸元を両手でつかんで、力いっぱい持ち上げた。細身の死神さんは、体操部の博之の腕力で、軽々と宙に浮いた。
(佐藤千鶴) 「やめて!」
首を吊り上げられ、足をジタバタさせる死神さんを、博之が投げ飛ばしてしまう前に、千鶴は博之に抱きついて、降ろすように頼んだ。博之は千鶴の言うとおり、死神さんを床に降ろし、一歩後ろに下がった。死神さんは後ずさりして、パイプ椅子に放心したように座り込んだ。
(佐藤千鶴) 「私の気持ちは決まってるから」
(木田博之) 「もう、佐藤に連絡して来ないでください」
(死神さん) 「もうええ。帰れ」
博之は千鶴の手をつかみ、楽屋から引っ張り出した。そこで、映画スタッフが戻ってきたところに、出くわしたのだった。