映画 戦国生徒会
バチーン!
「痛って!」
中庭のベンチに座って、考えをめぐらせているところに、博之は突然、背中をたたかれた。
「何考え込んでるのか、当ててあげようか?」
そこに立っていたのは、いぶかしげな顔をした恵美莉だった。
「なんだよ、突然。ビックリするじゃないか。それに何も考えてねえよ」
「へぇそうなんだ」
と言って、左にピッタリくっ付いて座った。
「何? 引っ付き過ぎだって」
「私じゃイヤなのねぇ。佐藤さんがよかった? それとも香織ちゃん?」
「お前・・・な・に?」
「どうせ、そんなこと考えてたんでしょ。『秋は恋に悩む季節』かぁ」
「そうじゃないって。小説表現やめてくれる? もう」
「そうじゃないって言い切れる?」
「・・・なんでそう思うんだよ」
「キッドねえ。簡単なのよあんた。よく見てれば誰が好きかすぐ判る」
「それが佐藤か香織かって? バカにすんなよ。関係ねえよ」
「そうか、私の勘違いだったらいいんだけど」
「勘違いって、何考えてるんだ?」
「ズバリ言うわね。どっちか一人にしなさい!」
「ええ?」
「香織ちゃんは嫌いになった訳じゃない。でも佐藤さんのことも好きになってしまった。うんうん。それはよくあることよ。でも香織ちゃんとは別れちゃったんでしょ? 嫌いになってないのに。どうしてか? それは、佐藤さんと付き合うきっかけがあったから! そうとしか考えられない」
「お前、すごいな。その想像力。いつからそう思ってたんだ?」
「サルボボ。お土産のあれくれた時。私、黒がよかったって言ったら、お前もかって驚いてた。あの時、佐藤さんも黒を持ってたから、ダブらせたくなかったんでしょ。それにキッド、いつも私のこと大事に考えてくれてるから、青いサルボボもよく考えて選んでくれたはずなのに、黒より青がいいよとか、青を押し付けなかった。あの時、黒も結構いいなって思ってたんでしょ。それは佐藤さんが黒だったから、青を嫌がった私じゃなくって、佐藤さんを否定出来なかったってこと」
「本当に鋭いヤツだな」
「キッドが単純なのよ。でも、今回はハッキリどっちかに決めないと」
「だから、別に俺は二人を天秤にかけたりしてないよ」
「じゃ、佐藤さんてことね」
「まあ。そういうこと」
「やっと白状したか。もうどれくらいまで行ってんのよ」