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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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映画 戦国生徒会

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第6章: 暗雲が立ち込める



 剣道部の追っ手から逃げる博之が、模造刀を真剣白羽取りするシーンの撮影が、夜の神社で行われた。数人が集まり、バッテリーライトを当てて撮影をしていると、そこへパトカーが来た。福田は慌てて照明を消した。
 博之は撮影の合間に、模造刀を振り回して遊んでいたのだが、それを近所住民に通報されたのだった。

「ちょっと君ら。何やってるんだ。学生か?」
 警官が降りてきて、スタッフに問うた。
「高校生です。映画の撮影をしています」
中川が答えた。しかし、その警官は博之を見ていた。そして、もう一人警官が降りてきて、無線で、
「現着。職質中」
などと言いながら近寄ってきた。
「この刀は何だね。こういうもんを振り回しちゃいかんよ」
「偽物ですよ」
手に持っていた博之が言った。
「偽物て言っても、これ本物みたいじゃないか」
「うん、君達、誰が見ても本物に見えるだろ。一応、銃刀法違反に当たるよ」
一同、息を呑んだ。
「君、ちょっとこっちに来てくれる?」

 博之はパトカーに乗せられて質問攻めにあった。その間の会話は穏やかに諭すように話されたが、博之は緊張のあまり、口の中がカラカラに乾いてしまった。
 特に逮捕や補導されるということではなく、警官のノートに生徒手帳の情報をメモされ、釈放された。
 博之は明日から「犯人」とか「容疑者」というあだ名が付くであろうことを覚悟した。
 中川はこの模造刀の所有者が誰かを聞かれたが、この日は持ち主の杉田は撮影現場に来ていなかったので、それは警察によって押収され、翌日、杉田とその母親と一緒に、警察署まで受け取りに行く羽目となってしまった。

 この後、博之は香織からのLINEの着信に気付いた。

   [もう帰ってる?]21:37

 しかし、気分的にそれどころじゃなかったので、返事を打たなかった。香織はそのメッセージが既読になったのを確認して、暫く待っていたが、悲しくなってまた泣いた。

 翌日、香織は博之に怒った表情で睨んで、一言もしゃべらなかった。
 博之は、映画撮影とクラブの両立と、香織のケアの優先順位が曖昧になっていて、いつも考え事をしているような状態だった。

作品名:映画 戦国生徒会 作家名:亨利(ヘンリー)