デス宝くじの当選者!
ため息が漏れた。
ちょうど電話がかかってきた。
『先輩、今ニュースで先輩の家の近くで事故があったって……大丈夫ですか!?』
「うん、大丈夫だよ。間一髪でね」
『間一髪? え? でも先輩車に乗ってたんですか?』
「乗ってないよ。でも、本当に危ないところだったんだ」
『まあ無事ならよかったです、それじゃ』
電話を切って、改めて痛感した。
人波の生活でいいじゃないか。
宝くじで大当たりして大金なんていらない。
俺には少しばかりの幸せが、細切れに訪れるだけでいい。
それくらいのちょっぴりの嬉しいことがあれば、幸せだ。
「うん。それが俺にぴったりの幸せな量なんだ、きっと」
俺は安心して家に帰った。
家に帰ると、別の宝くじスタッフが待っていた。
「ああ、お待ちしていましたよ。
調べたら、あなたが当選者さんですね。
さぁ、報酬をどうぞ」
俺は顔がひきつった。
スタッフは俺が以前にコピーした宝くじを持っていた。
そう、その宝くじは間違いなく「当選」しているのだから……。
作品名:デス宝くじの当選者! 作家名:かなりえずき