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月とコンビニ
月とコンビニ
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焼肉ハグクラブ

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笹野葉 説教してた。…っていうかキレてた。
小毬  説教?
笹野葉 おう。
小毬  どんな?
笹野葉 それは、その…、まあいいとして。
小毬  うん。
笹野葉 その説教が、凄いブーメランっていうか、お前が言うなって言うか。自分で言ってて自分で傷ついてた。
小毬  自分自身にキレてるようなものだったんだ。
笹野葉 そうなんだよ。何か後悔。夢な、夢の話なんだけどな。
小毬  笹野葉、馬鹿だもんな。
笹野葉 ふふふふふ。
小毬  ふふふふふ。
笹野葉 ブーメラン。
☆小毬、ブーメランを両手でキャッチするアクト。
笹野葉 なに!?
小毬  ふっふっふっふっ。
☆小毬、おでこに突き刺さったブーメランをとるアクト。
笹野葉 あ、刺さってた。
小毬  まあ、お昼を食べようよ。
笹野葉 おでこ大丈夫か?
小毬  今日のお昼かい?
笹野葉 あ、聞いてない。
小毬  じゃじゃーん、たこ焼き。
笹野葉 おっ。
小毬  のたこ抜き。
笹野葉 ええっ!?
小毬  最近、カロリー気になるからさぁ。
笹野葉 抜くもの間違えてるだろ。
小毬  でもでも、ここのたこ焼き評判なんだよ。
笹野葉 へぇ。
小毬  秘伝のソースと大粒のたこ! そして、キューピーマヨネーズ!
笹野葉 はー、残念だー(棒)。で、おいくら万円?
小毬  880万円ナリー!
笹野葉 …。
小毬  …。
笹野葉 ほんとは?
小毬  520円。
笹野葉 ほい。
☆笹野葉、小銭をわたす。
小毬  おしい。
笹野葉 おしくないわ。
小毬  おしくない。
笹野葉 うん。
小毬  なにはともあれ。
小・笹 いただきます!
☆小毬、笹野葉、たこ焼きのたこ抜きを食べる。
笹野葉 あ、うま。たこねぇけど。
小毬  …笹野葉、ごめん。
笹野葉 いいよ、買ってきてもらった分際で文句なんて言えねぇよ。
小毬  いや、そうじゃなくてさ…。
笹野葉 ん?
小毬  逆につらい思いさせちゃったかなって。
笹野葉 …。
小毬  …。
笹野葉 つらい想いはしてないわ。
小毬  そう、よかった。
笹野葉 ただ、俺もまだまだ青いなっては思った。もっと熟れねぇとなぁ。
小毬  熟男になるの?
笹野葉 ああ、じゅくじゅくになるわ。
小毬  笹野葉って、変態だね。
笹・小 知ってた。
☆押花イリ。
小毬  ん、押花さん?
押花  …。
☆押花、笹野葉の前まで歩いていく。
笹野葉 …。
押花  …。
☆押花、頭を下げる。
押花  私に、人を集める方法を教えてください。
小毬  あ、え、押花さん?
笹野葉 …。
押花  私なりに考えてみたの。自分の居場所が欲しいって気持ちは、本当だった。居場所が無い自分を見つめるのが怖くて誤魔化してた。ごめんなさい。
笹野葉 …。
押花  でも、焼肉ハグが好きで、大切で、やりたいって気持ちも本当なの。私を救ってくれたのは、やっぱり焼肉ハグだから。
笹野葉 …。
押花  私は、焼肉ハグを行うための、私の居場所が欲しい。見ず知らずの人との刹那的な交流だけじゃ駄目なの。焼肉ハグをするために、一緒に悩んで、苦労して、喜び合える、そんな仲間が欲しい。贅沢なことを言ってるのは分かってるけど、これが私のやりたいこと、欲しいものの、マジだから。
笹野葉 …。
押花  だからお願い。私に、一緒に焼肉ハグの企画を考え合えるような、私の居場所になるような、そんな仲間の集め方を教えて下さい。教えて下さい、お願いします。
笹野葉 …。
押花  …。
笹野葉 …俺を惚れさせるんじゃなかったのか?
押花  …分かってる。でも、マジだから。
笹野葉 …。
押花  …。
笹野葉 …。
押花  …。
笹野葉 顔上げろ。
押花  …。
笹野葉 …、頭なんて下げてる暇ねぇぞ。土曜日まであと2日しかないんだ。
押花  笹野葉、くん…。
笹野葉 マジなんだろ?
押花  うん。
笹野葉 言っとくが、俺は教えるだけだ。実際に集めんのはお前だかんな。
押花  うん。…ありがとう!
☆希望の持てる感じの曲、F・I
笹野葉 当日はどこで何時からあるんだ?
押花  野猿街道沿いの月と焼肉で6時半から。
笹野葉 人数は?
押花  一応、十人前後で。
笹野葉 それ無理じゃん?
押花  ごめん。
笹野葉 謝る時間がもったいないわ。チラシを作ろう。多くの人に知ってもらうことが大事だろ。作れるか?
押花  手で描くの?
笹野葉 いいわ、知り合いを当たる。載せたい文章考えろ。焼肉ハグの魅力、今回のコンセプト、これからのこと、そんなトコロは押さえとけ。
押花  はい!
☆笹野葉、電話をかけ始める。
笹野葉 あ、あと金が要るから。
☆電話の相手が出る。
笹野葉 もしもし、猫田さん、久しぶりです。笹野葉です。いま、お時間大丈夫ですか? え、ああ、何だもう、チケット送って下さいよ。あ、いや、仕事の話なんですけどいいですか…?
☆押花、考えながら紙に文章を書き始める。
押花  皆さん、焼肉ハグを知っていますか? 焼肉ハグは、焼肉をしつつ見ず知らずの人とハグをして交流を深めるものです。ジョッキビールを片手に…。
☆小毬、そんな二人を見ながら、こっそりと教室を出る。
☆照明、少し薄暗く暗くなる。笹野葉と押花、大学構内の地図を持って机を囲む。
笹野葉 だ、か、ら、空腹の時を狙うのが、一番効果的だろうが!
押花  だからこそ放課後の時間を狙った方がいいんじゃない!
笹野葉 違う違う、空腹って言ったら昼飯時だろ! 食堂の前を位置取るんだよ!
押花  お昼は、人が多すぎて勧誘どころじゃないの! 話すらまともに聞いてもらえないんだからダメだって! 放課後に、コンビニの前が効果的!
笹野葉 そんなの帰るのに一生懸命で、話しなんてそれこそ無理だろ!
押花  いやいや、学生にとって放課後が一番余裕のある時間なんだって!
笹野葉 ああ、もう、話にならない奴だなお前はっ!
押花  実際に勧誘してからの経験を元に話してるんだってば、この石頭が!
笹野葉 言ったなスットコドッコイ貧乳が!
押花  非モテに言われたかぁねぇんだよこんちくしょうが!
笹野葉 お前だって、非モテだろうが!
押花  年齢イコールが何ほざいとんじゃぁ!
笹野葉 おお、いいだろう放課後だ、放課後で行くぞおい!
押花  上等だ、お昼も勧誘してやんよ、マジだぞ、オラ!
笹野葉 一人くらい、捕まえてきやがれこの野郎!
押花  ふざくんな、大漁じゃ大漁! ワッショイ、ワッショイ!
笹野葉 ワッショイ、ワッショイ!
笹・押 ワッショイ、ワッショイ!
☆照明、少し薄暗くなる。押花と笹野葉、勧誘の練習を行う。
押花  焼肉ハグどうですか! 興味ありませんか!
笹野葉 んー。
押花  焼肉、美味しいですよ! 食べ放題です!
笹野葉 熱意と誠意は伝わる。
押花  どうすればいい?
笹野葉 そうだな、男にはもう少し媚に行った方がいいかもな。
押花  媚に…。
笹野葉 イメージわかんか。
押花  例えば?
笹野葉 『一緒に食べましょ?』とか、『ハグしましょ?』とか。
押花  …。
笹野葉 元々、焼肉ハグになんて興味ないんだから、何か別のものにでも興味を持って、引っかかってくれたら儲けもんだろ。
作品名:焼肉ハグクラブ 作家名:月とコンビニ