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月とコンビニ
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焼肉ハグクラブ

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『焼肉ハグクラブ』

【著】山田直人

登場人物
○笹野葉
○小毬
○押花
○八女



【シーン①】
空き教室。八女板付き。

八女  生の時間に差など無く、在るのは、密度の濃いか薄いか。誠実である人よりも、誠実で在り続けようとする人に憧れて。生きよう、生き急ごう。若気の至りをそのままに。赤く、熱く。
☆笹野葉、八女の台詞のうちにイリ。
笹・八 一生懸命に生きる事への憧れで、胸をいっぱいにして。
笹野葉 …、好きな。
八女  太郎。
笹野葉 気に入ってたもんな
八女  うん。
笹野葉 なつかしい。
八女  今でもそらで言える。
笹野葉 さすが。
八女  でしょ。
笹野葉 なあ。
八女  考えんの。
笹野葉 …、何を?
八女  いままで、全力で生きれたって思える瞬間があったかな…、とか。いま、全力で生きられてるかな…、とか。
笹野葉 …。
八女  あのね。
笹野葉 うん。
八女  私たち…。
笹野葉 ううん。
八女  …。
笹野葉 全員、全力で生きてた。
八女  …。
笹野葉 一生懸命に生きてたよ。
八女  だったら。
笹野葉 だからこそだったんだろ。
八女  …、分かんないなぁ。
笹野葉 俺もだよ。
八女  分かんないよ。
笹野葉 …。
八女  …。
笹野葉 …、八女?
八女  だったら…。
笹野葉 言うな。
八女  だったらさ…。
笹野葉 そんなこと言うなよ。
八女  …。
笹野葉 あの毎日が、ただどうしようもなく楽しかったんじゃないかっ!
☆笹野葉、呆然と椅子に腰を下ろす。八女ハケ。



【シーン②】
空き教室。笹野葉、そのまま板付き。小毬イリ。

小毬  笹野葉、起きなよ笹野葉。
笹野葉 んぁ…。
小毬  もう、人にお昼買いに行かせといて寝るなんて酷いよ。
笹野葉 ふぇあ、すまん。
小毬  …、ほい。
☆小毬、ハンカチを差し出す。
笹野葉 ん、ああ。
☆笹野葉、ハンカチを受け取って目元を拭く。
小毬  夢でも見たの?
笹野葉 …、ああ。
小毬  そう。
笹野葉 井上さんが、おっぱいが好きだーおっぱいが好きだーって言ってる夢だった。
小毬  え、井上さんって?
笹野葉 現代色鉛筆学概論の。
小毬  井上教授が!?
笹野葉 おっぱいの良さについて超絶語ってた。色鉛筆の時より語ってた。むしろおっぱいになりたいって言ってた。
小毬  なにそれ、どういう状態!?
笹野葉 小毬。
小毬  なに。
笹野葉 色鉛筆って、おっぱいだったんだぜ。
小毬  なにか一線を越えたよ!
笹野葉 おっぱいって、最高だな。俺にも生えろ。
小毬  笹野葉が毒されている…、自分が見た夢に毒されている。おのれ井上、許すまじ。
笹野葉 で、昼飯は?
小毬  あ、はいよ。
笹野葉 さんきゅ、いくらかね?
小毬  450万円。
笹野葉 …。
☆笹野葉、小銭をわたす。
小毬  なんか反応しなよ! すべってるみたいじゃん!
笹野葉 すべってんのよ。
小毬  え?
笹野葉 なにこれ。
小毬  なにって、カップ麺。
笹野葉 特濃草食系親父あじ。
小毬  なんかセブントゥエルブが押しててさ。
笹野葉 お前のは?
小毬  初恋 ~ファーストキッスはふんどし仕立て~。
笹野葉 セブンって腐ってんのかね。
小毬  え、消費期限は大丈夫だと思うよ?
笹野葉 あ、いや、そうじゃないんだけどな。
小毬  食べよ!
笹野葉 え、いや…。
小毬  食べよ!
笹野葉 あの、だから…。
小毬  食べよ!
笹野葉 それは、えっと…。
小毬  食べよ!
笹野葉 食べる。
小・笹 いただきます。
☆小毬、笹野葉、カップ麺をすする。
笹野葉 あ、うま。
☆押花イリ。
押花  ばーん!
小毬  ん?
☆押花、笹野葉の前まで歩いていく。
押花  笹野葉くん?
笹野葉 え、あ、そうだけど。
押花  ちょっと頼みたいことがあるんだけど。
笹野葉 あのー、押花さん…、だよな。色鉛筆で一緒の…。
押花  私と一緒に、焼肉ハグをしよう! ばーん!
笹野葉 …。
小毬  …。
笹野葉 どういうこと?
小毬  そういうことじゃない?
笹野葉 …。
押花  …。
笹野葉 丁寧にお断りします。
押花  なぜに!? こんなぼんきゅっぼんの可憐で可愛い美少女に誘われているのに! 
小・笹 盛ってる盛ってる盛ってる盛ってる。
押花  焼肉ハグなのに! ハグのときに、おっぱいだって当てるのに!
笹野葉 え、ほんとに!?
小毬  揺らぐな揺らぐな。
☆笹野葉、押花の胸をじっと見る。
小毬  おっぱいを見るなっ!
☆笹野葉、イノセントな顔をする。
小毬  何だその顔はっ!
☆押花、高らかに胸を張る。
小毬  堂々とするなっ!
笹・押 どうどうどうどうどうどうどうどう。(なだめる感じ)
小毬  おうおうおうおう…って、牛かっ!
押花  牛なの?
小毬  違うわっ!
笹野葉 知らなかった!
小毬  違うって!
押花  もうもうもうもうもうもうもうもうもう。
小毬  止めてっ! いきなりなじんでんなー、もー。
笹野葉 で、なんで俺?
押花  ん、それは…。
笹野葉 それは?
押花  焼肉ハグはマイナーだし、1回やるのにも場所を取ったり準備とかあるし…。
笹野葉 はあ。
押花  あんた、劇団とやらで制作をやっていたんでしょ。そういうの得意じゃない?
笹野葉 なるほどなるほど。
押花  一緒にやってくれたら助かるし、まあ嬉しいなって…。
笹野葉 うん、断る。
押花  え?
笹野葉 うん、断る。俺、スキンシップ苦手だし、焼肉ハグとやらは性に合わんし。断るよ。
押花  あの、でも、でもでもでもさ。
笹野葉 他にやりたいって言っている奴らはいるの?
押花  それは…。
笹野葉 …。
押花  …。
笹野葉 その焼肉ハグってのに魅力が無いんじゃない?
押花  む、そんなことないよ!
笹野葉 それじゃあ、お前さんが甘いんだな。
小毬  笹野葉。
押花  なにそれ、どういうこと?
笹野葉 どんなマイナーなモノだって、その気になればサークルの一つや二つできるもんだよ。ポイ置きゲリラ研究会叱り、恋文修行愛好会叱り。要するに、その程度ってことだよな。マジでやろうとなんてしてねえんじゃん。俺の仕事を買ってるなら、バイト代出してくれ。それならするよ。
押花  は、きも、まじ意味不明なんだけど。
笹野葉 やりたくないって言ってんだよ。
小毬  言い過ぎだよ。
押花  いいよ。
小毬  押花さん。
押花  いいよ。言ってる事、意味分かんないけど、焼肉ハグを馬鹿にするのは許せない。一回でも焼肉ハグをすれば、みんな大好きになるんだもん。人くらい集められるよ。簡単だよ。あんたも惚れさせてやる。
笹野葉 はっ、無茶言うな。
押花  マジだって言ってんだよ。
笹野葉 上等。
押花  来週の土曜日に焼肉ハグをやる。そのあと、メンバーを募って焼肉ハグクラブを旗揚げする。あんたの力を借りなくてもできるって証明してやる。
笹野葉 いいね、やってみろ。
押花  ふん! ぷんぷん!
☆押花ハケ。
笹野葉 何なんだあいつは。ぷんぷん!
小毬  笹野葉。
笹野葉 麺、延びちまった。
小毬  楽しそうだね。
笹野葉 ばか言え。
小毬  …。
笹野葉 …
作品名:焼肉ハグクラブ 作家名:月とコンビニ