シルエット!
男子生徒 確かに僕は吠えてた、自分の姿を想像したらアホだとも思う、プラトニックなんて言葉も今初めて聞いた、でも僕は恋をした、一目惚れだった、たった一度、たった一度だけ幕の向こうに見た、シルエットだけの彼女を好きになってしまったんだ!!
先輩 ・・・よく言ったわ!!
☆もうこっち側のターンと言わんばかりのテンションの高いBGM
先輩 お前達!
舎弟①② おいッス!!(縛られた体制から逃れる)
副会長 なっ。
先輩 行きなさい!ボーイ!
男子生徒 えっ。
先輩 今の言葉響いたわよ、それを彼女にいってやんなさい。でも意外だったわもっとなよなよした男だと思ってたけど、あんたはもうナウでヤングな男よ!! 気が向いたらまた踊りましょ、素敵なミュウジックでね。
男子生徒 ・・・ありがとう、マイブラザー(駆け出す男子生徒)
会長 お前・・・。
先輩 いかせないわよ、さぁ十とんで一回目の懲罰部屋、終わらせるのはもったいないわ、楽しみましょう?
☆どっかの廊下。
男子生徒 俺は走った。まだ脳裏に残っている彼女をシルエットを求めて。
俺は走った。恥もプライドも捨て、ただ彼女の為に。
俺は転んだ。だが痛くなんてない。先輩に殴られた頬の痛みに比べたらこんなもの。
俺は走った。廊下、階段、体育館、屋上、教室、職員室。
走れる場所は隈なく走った。彼女を探して、求めて、走った。
そして俺は……………迷った。
どこだここ。
☆懲罰部屋ではトランプによる卑劣極まりないお仕置きが。
衰弱した舎弟①②がババ抜きをしている。
舎弟① はぁ…はぁ…
舎弟② はぁ…はぁ…
舎弟① きっとこれだ。
☆舎弟①、ババを引く
舎弟①② ぬわぁぁあああああ
舎弟② いい加減あがらせてくれぇえええ
舎弟① あと何回ババを引けばいいんだぁあああ
舎弟② 次だ。次で絶対にけりをつけてやるのさ。はぁぁぁぁああああ……
舎弟① はっ!!この感じ…まさか。
舎弟② キリッ!!悪いな…ついに俺の中のジャッカルが目覚めちまったようだ…。
舎弟① へへへ…こいつは驚いた。久しくお目にかかるぜ、ブラザーのその目をよぉ。
舎弟② 気を抜くんじゃねぇぜ。下手したらカードと一緒にお前の腕ごと引いちまうからな。
舎弟① 弁えてるさ…ブラザー…。
舎弟② いくぜ………ほぁぁああああ!!!!!
☆舎弟②、ババを引く。
舎弟② てめぇババァ何回くりゃ気が済むんじゃぁああ
舎弟① ぎゃぁぁあああああ
☆舎弟たちはババ抜きを無限ループしている。
副会長 バカだろあいつら。
会長 言ってやるな。なんせ男の真剣勝負だからな。そしてこっちも…
先輩 はぁ…はぁ…
会長 限界のようだ。
☆先輩も衰弱状態
先輩 まだまだよ。
会長 それだけ手札を持たされてまだ反抗の意志があるなんてな。
先輩 喰らいなさい!DRAW TWO!
副会長 はい。DRAW TWO。
会長 同じく。
先輩 ぐはっ。
会長 ついでにUNO。
先輩 ぐはっ
会長 それだけの手札を持っていて、この程度も返せないとは。
副会長 勝負の女神にも見放されたようですね。
☆この時点で会長の手札一枚。副会長も二枚。
会長 そろそろあがってしまおうかなぁ~
副会長 UNO上がりでもしちゃおっかなぁ~
先輩 ……
会長 でも、もっと焦らして苦しめてやってもいいぞ~?
副会長 山札がどんどん減っていくぞ~?
先輩 ふふのふ。
会長・副 ふふのふ?
先輩 ふふふふふふ…ふはははははは。
副会長 DRAWしすぎて、とうとう壊れたんですかね?
先輩 焦らして苦しめるぅ?ですってぇ?
副会長 こいつ、変態か?
先輩 時間が延びれば延びるほど、私たちにとっては好都合なのよね~。
会長 おい、それはどういうことだ?
先輩 さぁて、何でしょう?
会長 答えろ!
先輩 ふふのふ……彼、そろそろ会えたかしら。
副会長 彼って…さっき部屋から飛び出した男子生徒のことか?
先輩 あんなに自分の気持ちに真直ぐな子は初めて見た。思春期真っ盛りね。だから私たちは彼を応援することを決めたの。
会長 まさか!?
☆会長・副、舎弟の方を見る。
舎弟① ウワー、ゼンゼン、オワラナイヤー(棒)
舎弟② ババヌキ、ムゲンジゴク、オソロシヤー(棒)
舎弟①② クワバラクワバラー(棒)
副 罠にハマっていたのは我々だったということですか!?
先輩 どうでしょうね。
会長 ちょっと待て。確か、あの男子生徒はシルエットの女性に恋をしたと言っていたな。
副 えぇ
会長 まずいぞ…これはまずいぞ!!あの時は彼の熱量に圧倒されて気づかなかった…そうか…お前らの狙いは最初からそれか!!
先輩 ふふふのふ。
会長 こうしちゃいられない!さっさと上がるぞ!
副会長 はい!
☆副会長、会長にウインク。
副会長 (心の声)私の手札にはWILDカードがあります。だから会長は一刻も早く離脱を!
会長 (心の声)すまない!俺のカードは…
☆会長、急に歌い出す
会長 あ~私の~恋は~南の~風に乗ってはしるわ~♪
先輩 焦ってどうかしちゃったのかしら。
副会長 (心の声)分かったぞ!会長の持っているカードは青だ!ナイス会長!これで私がWILDカードを出して色を変えれば会長をあげることができ……
先輩 SKIP♪ SKIP♪ SKIP♪ そして~DRAW FOUR。色の指定はREDで。
会長・副 なっ!!!!!
先輩 言ったでしょ?楽しみましょうって。彼の告白は誰にも邪魔させないわ。
☆所変わり、職員室。男子生徒は力尽きていた。
男子生徒 ……迷った。はずだった。しかし検討はついた。ここは、そう校! 長! 室!
校長室それは我々生徒の不可侵領域。
会長と副会長を牛耳る真のボスがここにはいる!
舎弟① ヘイ、ブラジャー!
舎弟② ヘイ、ブラザー!
男子生徒 な、なにをするうううう。(腕を引っ張って立たされる)
舎弟① ついにここまできた!
舎弟② たどりついた!
舎弟① イエス! イエス!
舎弟② イエースウィーキャーン!
舎弟① ここに来た意―味はー、この指の先に光る~!
舎弟② そう!
男子生徒 ……キー。
舎弟① ぽいっ
舎弟② ぽぽいっ
舎弟①② ぽぽいのぽいっ
☆校長室に投げ入れられた男子生徒。
男子生徒 このキーは!
走る 蹴破る 転び窓を割り さらに走る。
登る 登る 俺は階段を駆け上がる。
この鍵は!
男子生徒 ついた。放送室!
☆「キーーーン」というマイクの接続音
男子生徒 恋をしたああああん! 僕は! こいをしたあああああん!
好きだあああああああああん!
君のシルエットが! 好きなんだあああああああん!
☆舞台後方が白い幕(紙)で覆われる。足首から下だけは見える感じ。