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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~」 第一話

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市内の公立高校に新しく赴任してきた社会の教師は、学生時代から俗にいう「歴女」で、周りからもそのような目で見られていた影響で外見の割にはモテると言う事が無く、恋愛とは縁がない人生を30年間送っていた。

運悪くというか、運よくと言うか、男子校である工業高校の二年生の学科「日本史」を教えることになった。初めての授業に職員室から熱い拍手をされて、軋む木の廊下をゆっくりと歩く。ハイヒールのコツコツと言う高い響きが目的のクラスの前までやってくる。

「おい、先公来たぞ。女だって言う話だけど、美人かなあ~」

クラスで一番成績が悪い佐々木がそうつぶやく。

「佐々木、掛けるか?おれはブスに100円」

そう言ったのは成績が優秀だけど何故かギャンブル好きの高木だった。

「おれも、ブスに100円掛ける」

あれよあれよという内に10人が掛けに参加した。結果半々、「丁半揃いましたね」
高木は笑ってみんなの顔を見渡した。

ドアーが開く。

「起立!」

クラス委員が発声する。

「礼!」

続けて全員で頭を下げる。
そして見上げて、先生の顔を見た。

「やっべえ~美人だ・・・」

高木は囁いた。

「今何か言いましたか?」

「いえ、何もです」高木は頭を下げた。

「本日から授業を担当します、かわのみほと言います。かわは三本川の川、のは野原の野、みほは美しいに稲穂の穂です。一年間よろしくね。初めに聞いておきたいことがあるの、いいかしら?」

教壇がある少し高くなった床面から下に降りて中央に立ってみんなの顔を美穂はそれぞれじっと見た。
チャコールグレイのストライプが入ったパンツスーツはこの年代の女性には定番のスーツとして人気があった。

「ここは工業高校だからみんなは就職か、専門に行く予定よね?四年制の大学に日本史を選択して受けたいという人いるかしら?居たら手を挙げて欲しい」

誰も手は挙げなかった。

「解りました。では、私が教科書通りではなく皆さんに歴史がどのようなものであるか一年間お話したいと思います。今日は最初だから、何か私に質問があれば聞くので手を挙げて言ってください」

委員の渡辺が挙手した。

「あなたはクラス委員よね、え~っと、渡辺くん、どうぞ」

「渡辺です。先生、教科書通りではないという意味がよく解りません」