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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの7

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この優しさに甘えていいのだろうか…。

日曜日のアパートの一室。
知秋はベッドに腰掛け、自分の右手を眺めていた。つい先日、眠る前に優太が握ってくれた手の感触を思い出す。

とても嬉しかった。そばにいてくれることが嬉しかった。気にかけて貰えて嬉しかった。自分の分かりずらいSOSに気付いて、付き合ってくれるのが嬉しかった。握ってくれた手がヒリヒリした自分の心に温かかった。

でも…。

知秋は久しぶりに伏せてある写真立てを起こし、小さい頃の自分の写真を眺めた。そこには竜也に抱き抱えられ、嬉しそうにピースをしている10年前の自分の姿が写っている。

あの時、自分が今の状況に追い込まれることを予想できただろうか…。

幸せなんか簡単に壊れる。

優太に優しくされるのは嬉しい。
今日が来ることを結局は楽しみにしている自分がいる。でも、このまま甘えていていいのだろうか…。甘えれば、甘えるほど、離れて行かれた時のリスクは大きい。そう考えると不安で堪らない。

それでも…。
優太が気にかけてくれることが嬉しい。
知秋は夜空のポストカードが貼られているコルクボードを眺めると力強く制服のスカートを掴んだ。