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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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冰(こおり)のエアポート

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16:20 一緒でも構いません



そこに航空会社の制服を着た女性が走って来た。
どうやらクレームを言っていた赤ら顔の男の話を、バス停の係員が無線で知らせてくれたようだった。
「申し訳ございませんでした。すぐにタクシーをご用意いたします」
3台のタクシーがすぐに来た。当然、エグゼクティブカウンターのメンバーが対象で、その中でも博之は一番に乗せられた。その際に、赤い雨合羽を急いで脱いで、寿美代がそれをくれた女性に返しに行ってくれた。
そして、顔が赤青の二人組と一緒に、博之と寿美代を乗せたタクシーは発進した。
「ひどい目に遭いましたねぇ」
「連絡してくださったんですね。ありがとうございました」
寿美代は、助手席に座る赤ら顔の男にお礼を言った。

博之は車内でマフラーを脱ぎ、隣の寿美代に返した。タクシーは凍った路面を猛スピードで飛ばして、ホテルには15分もせずに到着した。狭い車内は暖かかったが、膝に冷たいバッグを抱え、博之の体温はあまり上がらず、鼻水も止まらなかった。それに震えを抑える体力もあまり残っていなかった。50分以上全身に力を入れていたので、それも仕方がない。

フラマーホテルは、この街ではまずまずの高級ホテルである。そのロビーに入るとフロント前には多くの日本人が並んでいたが、タクシーの運転手がドアマンに何かメモを渡し、彼らを優先すべき客だと説明したので、博之たちはフロントには並ばずに、コンシェルジュのデスクへと案内された。
博之と寿美代は一緒に歩いていたが、もうその姿は誰が見ても夫婦と思うだろう。
デスクで二人分のパスポートを提示して、予約されている部屋を確認してもらっている間に、個人情報をカードに記入させられた。しかし、博之の手はかじかんでいて震え、まともな文字が書けないほどだったので、寿美代は博之が言う通りに代筆した。その時、博之の頭は以外にスッキリしていて、意識はしっかりしていると判った。