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無月夜(5/15編集)

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 その時、トパーズは紺青と蘇芳と三人で紺青のアパートで飲んでいた。

「肝試しいこら!」

 それで、誰が言い出したかよく分からないが、そういう展開になった。酔っ払いの思いつきに脈絡を期待する方がどうかしている。

「近くに、最近廃校になった『いかにも』な学校があんのじょ」

 タケの提案ですぐに場所も決まって、三人で出かけた。廃校までの真っ暗な夜道をふらふら歩きながら、紺青はトパーズ達に、これから行く廃校の噂話をいろいろと教えてくれた。

「あんな辺鄙で陰気な場所に作りよってからに、最っ初からヤバそうやった」
「小火騒ぎや校内暴力が連発しとった」
「廃校になった後、どうやら学校関係者のほとんどは自殺か事故で死んどるらしい」

 ……当時、全員相当に飲んでいた。そんな話を聞いても、これといった恐怖感はなかった。実際にそこに着いても、ゾッとする何かも感じなかった。建物は最近廃校になったというわりには、窓ガラスは割られて、入口の扉も壊されていてボロボロだった。

「ずいぶん荒れてるねえ」

 トパーズが言うと、紺青が言った。

「出るっちゅう噂があるからな、若い子達とかが、抜け道あんのにわざわざ封鎖してある出入り口を壊して入っていくんや……。ここ、俺の地元じゃ結構な人気の心霊スポットなんやで。……ま、今日は誰も来てへんないみたいやけど」

 最後の「誰も」というところで、何だかゾクッと来て、トパーズは思わず震えた。

「なになに、トパーズもしかして怖い?」
「しゃーないなー、豆腐メンタルのボンが涙目だから帰るか!」

 めざとく蘇芳に見つかった。そしたら紺青も調子に乗って煽ってくる。

「……ちょっと、何ニヤニヤしているわけ? 別に僕はあの時怖かったわけじゃないからね! 断じて!」

 とにかくそれでこの馬鹿二人の集中攻撃にあって、思わずトパーズは言ってしまった。

「僕がただの廃校なんかに怖がるわけないじゃん! むしろ一人でも入れるに決まってるでしょ!」

 言った後しまったと思ったけど、時既に遅し。

「おぉ? そこまでいうんならやってもらおやないか。せっかくやし屋上まで行ってきよしよ~」
「あはー、じゃあたしトパーズくんができんで泣いて帰ってくる方煮玉子とキムチ砂肝かけよーっと!」
「俺はちくわと裂けるチーズや!」
「賭けになってないし……」

 そんな風に、やっぱムリとは言えない状況になって、結局「屋上まで行って証拠にそこから手を振る」ということになってしまった。

「それからの話をまぁ簡潔に言うとだね……」

 トパーズは校舎に入った。そして無事に出てきた。戻ってきたトパーズを見て、二人はずいぶん感激したみたいだった。

「トパーズ! カッコいいじゃん! 今にも出そうな屋上から手を振るあなたの勇姿はしっかり見届けたよぉ!」
「俺もびっくりやわ。よっしゃ、帰って、オトコ・クロトビ・トパーズのために飲み直そら! この後の酒は俺がぜーんぶ奢っちゃるわ!」
「マジ? 蘇芳くんしゅきー! 今日限定で!」
「そらないやろ! ちょっとキュンとしたんやで! 童貞からかわんといて!」
「紺青どんな聞き間違いしてんの?」

 それで、何事もなく帰って飲み直して、この肝試しはお開きになった。
作品名:無月夜(5/15編集) 作家名:狂言巡