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股野 特大
股野 特大
novelistID. 38476
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桃色詐欺メール

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「メール 待ちわびて寝てしまってました。
 なんだか あなたと同じく「つい、面白くて」の
 誘惑に負けてメールしてます(笑)
 もしも詐欺でも今夜は楽しくお話しませんか?
 僕 ヒロっていいます」

少し心臓の音がバクバクしながら打った。心なしか指も少し震えていた気がする。
そして返信メールはすぐに来た。

「こんばんは 良かったわ 詐欺じゃないから安心してください
 あら、自分から詐欺だっていう人いないわよね(笑)
 ヒロっていうのね
 主人の名前と一緒だわ・・間違えるはずだ
 おいくつかしら?」

ホントかよっ!?
Hiro2153が僕のメルアドだから、数字だけ間違えたとなればこのメールが来た理由はわかる。
上手く仕組まれた罠か?
いや、いや僕を罠にかけた所でそう大金は持ってないし、まるで出す気もない。
ひとつのメールで僕は文面以上の感情の裏側を読み取り、一人、疑心暗鬼を楽しんでる。

「45歳です バツイチの独身です
 ひとりの自由を楽しんでいます
 ご主人は帰ってきましたか?」

何を僕は知りたいんだろ?
何を僕は求めてるんだろ?
とにかくこの見知らぬ女性とのコンタクトに、何も変化のない日常に小さな波がやってきたことは確かだ。いや、小さいじゃなく、かなりインパクトのある危険そうな波だ。

「帰ってきてるわ^^
 あなたと違ってウチは
 真面目な主人なの」

えっ?僕は先程、彼女と交わしたメールを読み返した。

「昨日も泊まりだったじゃない!浮気してるんでしょ!」こんなのを送ってるくせに。
彼女に即座にメールを送った。

「さっきは浮気してるでしょ!って、
 凄く怒ったようなメール送ってたじゃない?
 仲はいいの?」
 まったく・・・僕の勘違いか?


返ってきた。


「ははっ それがうちの会話なの。
 ちょっと怒ったふりしたら
 飛んで返ってくるから^^」


「じゃ、浮気も外泊も別に問題ないとこに
 僕が顔を突っ込んだわけね・・・失礼しました」


「そうよ それにうちの主人は
 あんなにはっきりものは言わないわ 
 怖い奥さんだから(笑)」


「なんだ 詐欺メールをからかおうかと思ったけど 
 なんか失敗したな」
 僕はようやく彼女が詐欺でないと思い始めたが、まだどこかに用心の頭が浮かんでいた。


「あなたのメールで
 “浮気するのは君のせいでもあるんだよ
 優しさも色気もどこかに捨ててきたの?
 最近の君を見てたら つまらない
 それだったら男は誰だってよその女に目を向けるさ“
 って書いてたじゃない?
 一瞬、私、固まったわ
 主人はこんなことを本当は思ってたんだ・・・と
 (苦笑い)
 そうよね~。。。女はいつでもきれいな女じゃなくちゃね
 後から読んで 神様の警告かもと思ったわ(笑)」


僕は僕が送った文面を思い出した。
実はそれは前の彼女に送りつけたかったやつなんです・・なんて今更書けない。
一人笑いながら

「そうですよ 女性は気を抜いちゃいけないんだ
 男は何も言わず観察してるんだから・・・
 沈黙ほど怖いもん ないですよ(笑)
 おいくつですか?結婚生活上手くいってます?」

 見知らぬ夫婦の仲を知ったとこでどうでもいいんだが、彼女のことを知りたいから、つい質問が多くなってしまった。そして勝手に僕の頭の中では夫が寝静まって退屈を持て余してる主婦の姿を想像していた。

「あなたより少し年上だわ
 女性に歳を聞くもんじゃないわよ^^
 結婚生活も飽きるわよね~
 バツイチなの?羨ましいわ
でも寂しいでしょ?」

ほら来たっ!寂しい?と聞いといて同調させるように独身の僕を試している。
自分だって寂しいのよと告白してるようなもんだ。
まあ、一人でこんな素性のわからぬメールに心躍らせてるんだから、寂しいのは当たってるかも。

「お姉さんも寂しんですか?
 単調な結婚生活ご苦労様です
 一人だから気楽な生活やってますよ
 (こんな文面だけじゃつまらないな・・どうせなら過激にいってみるか・・)
 お姉さんは今夜 どんな姿なんですか
 下着姿でソファーに座って
 お酒飲んでるってイメージなんですけど」


向こうから笑い声が聞こえそうな文面だけど送信した。


作品名:桃色詐欺メール 作家名:股野 特大