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 ソウイチロウがボクらを見回して言った。誇らしげに。
「そーゆー事かよ」
 リョウスケがボクに耳打ちする。
「……オレさ、実は……」
「えぇえ!?」
 消え入りそうなくらいの小さな小さなリョウスケの声。
“実は、オレ、屋上から……。そこをソウイチロウに……”
「今はバカだったって思ってる。こんなヘタレだけど、オレら、友達だよな?」
「うん!」
 衝撃の告白に驚くけど、そんな事は問題じゃない。
「僕は……。僕も、友達、でいいのかな?」
 サトルがおずおずと進み出た。
「ったり前じゃん!」
 リョウスケが笑って手を出し、サトルがそれを握り返す。
「ねぇ、ユウタ!」
 それを見て、ボクはユウタに声をかけた。
「すぐに泣くのは優しいからだよ。反論しないのは痛みを知ってるからだよ。ボクは、そんなユウタが大好きだよ!」
「僕の事、心配してくれた優しいユウタ!」
「あん時は怒鳴って悪かった。だから、戻って来い!」
「サトルを運んでた時も、水龍との戦いの時も、お前の魔法には感謝してる!」
「だから、ユウタ!」
 誰からともなく、手を差し伸べる。
「一緒に帰ろう!」
 ――― 『うん!』 ―――
 風が声を運んでくれた。ユウタもどきの手の中から、ユウタの声を!
「風?」
 思わずあいつの手の中を見上げる。
「……風よ……」
 微かに風のクリスタルが光るのが見えた。まだ魔法が使えるんだ!
 横にいるソウイチロウに目配せすると、気付いていたらしいソウイチロウが頷いた。その頷きがサトルへ、リョウスケへと移動する。
「ユウタ!」
「俺達は」
「ユウタと帰るんだ!」
「元の世界に!」
 各々に組んだ手に願いを込める。一つ目はボク。
「……翠の風……」
 弱い身体も乗り越えると誓った。
 二つ目はリョウスケ。
「……藍の炎……」
 絶望はしないと約束した。
 三つ目はサトル。
「……空の水……」
 自分を真っ直ぐに見つめ直すと決めた。
 四つ目はソウイチロウ。
「……天の光……」
 目を逸らさずに自分の道を進む決意をした。
 そして、封じ込められたユウタの代わりに呪文を唱える。
『……天の光……』
 輝き始めたクリスタルの光の中、ユウタの声が重なった。
「な、なんだ!?」
 ユウタもどきが自分の手のひらの輝きに目を閉じる。
 四つの輝きが世界を覆う闇を内側から壊していく。
「我に集いて……」
作品名:CLOSE GAME 作家名:竹本 緒