ワタシタチ。
だけど今の私達にはなぜかそのほうが居心地が良く感じた。
「とりあえず...生二つ!」
中学時代に戻っておいで、なんて声をかけられたら戻れるのだろうかと考えてみたが
やっぱり戻れないと思った。
あの頃はあの頃で楽しかったし苦しかったし
何もかもが全てガラスの破片のように尖っていた。
もう「いい大人」なはずなのに
私はビールを飲みながら涙を流した。
「大丈夫ですか?」
優しく背中をさすってくれた林さんに
私は言い放った。
「わたるっちのこと奪いに行け!」
「へっ?!」
「いいから早く!」
私は自分の番号を書いた紙と合鍵を彼女のバッグに詰め込み二次会の場所は分かるよね?と入口まで背中を押した
「ほ、ほんとうに行くんですか?!」
「いつ行くの?」
「今でしょ!」
「はい行ってらっしゃい!!!」
カウンターに戻ると席まで案内をしてくれた彼が
私の食べ終えたお皿を片付けながら話かけてきた。
「..何かあったんすか。」
「あなたもまだ若いんだからたくさんいろんなことしなさいよ~」
「..はあ。」
キョトンとした顔で私の顔を見つめていた
綺麗な奥二重に薄い唇
当時の彼にそっくりだった。
「きみ、彼女は?」
「一応、いるっすけど..。」
「大切にしなさいね。」
「..?うぃっす。」
明日の仕事もきちんと行こう。
そして帰ってくるか帰ってこないか分からない彼女のことを考えつつ
もし帰ってきたら優しく抱きしめてあげよう。
私も彼女も、進めるように。
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『同窓会』/ meluco.