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道化師 Part 2

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うっとりとしながらも、少し目が覚めてきたのか、逃げようとする。
今日は逃さない。
「愛してる、おまえが側にいることをすべてで感じたい」
俺の胸に顔を埋め声を殺して泣くミユキに何度も囁く、愛してると。

涙の止まらないミユキを抱き上げベットに横たえるが、首に回された腕が俺を繋ぎ止める。
「行かないで、僕を一人にしないで」
「しないよ、顔が見たい。すべてを見たいし、俺は愛したい。腕を緩めて」
首を横に振り、嫌々をする子供みたいに泣き続ける。
「嫌、見ないで。嫌いにならないで」
「なったりしない、傷だらけでも俺の気持ちは変わらない。辛さも悲しみも自分の身に受け止め耐えた強さや、そこから立ち直ろうとしてる今のおまえが好きなんだよ」
だから、俺に愛させて欲しい、逃げないでと囁き続ける。
優しく宥める手の動きがいつしか熱を感じ始め、悲しみや怯えを癒す唇はミユキの甘い声を引き出していた。
肌蹴たシャツはピンクに染まる肌を隠せず、俺の唇と手で余すところなく愛されていく。
「ヒロ……あぁ…」
未知の世界に誘われる不安は、愛されている喜びに震え消えていく。知識や経験など無関係に体の奥から湧き上がる熱情、ミユキの体は傷さえも俺の愛撫にさらに熱を帯び、甘い声を絶え間なく放ち、我慢の限界を超え、ミユキへの思いのまま怒張した楔がミユキを満たしていく。
「ミユキ、愛してる」
何度目かわからない熱を吐きださせていたミユキの唇から紡がれる。
「ヒロ、好き、愛してる」
幸せの絶頂で切なく漏れた言葉に、俺の表情に理性の揺らぎを見せ、さらに情熱的な動きに翻弄され、ミユキは堪らず身を仰け反らせ、言葉にならない喘ぎ声とともに意識を手放した。


ミユキを抱えるように抱きしめる俺の腕の中、寝ぼけたぼんやりとした瞳が嬉しそうに細められ俺の首に腕をからめ縋り付いてくる。
「ミユキ、起きたのか?」
「ヒロ、夢じゃないんだね」
「夢だと困るな」
俺の膝の上ではにかむ姿が可愛く愛しい。
「そろそろ、上がるよ」
「なんで、ここにいるの?」
「何故って、ミユキを抱いてきたから」
「そうじゃなくて、なんでお風呂にいるの?」
「汗かいたから、ミユキを洗いたかったからだけど」
俺が当たり前のように言うと、明るい湯船の中で抱きあっていたのが恥ずかしいのか、頬をより一層赤らめた。
「起こしてくれたら、自分で入るのに」
「ミユキ一人だと立てないよ。ベットまで俺が抱いて行くから」
「いいよ、自分で行くから。歩けるよ」
ミユキは意外と頑固だから俺は苦笑いをしながら
「俺は上がるよ」
と、先に立ち上がった。差し出した俺の手に縋るように立ち上がったが、足や腰に力が入らず、座り込むミユキを抱え上げた。
「ほら、無理だろ?」
「ヒロ、意地悪しないでよ、なんでこんななの、力が入らないよ」
ごめんと謝り、そのまま脱衣所のマットの上に座らし、タオルで体を拭く。
「ミユキの可愛さに我を忘れてしまった、無理をさせてすまない」
腰が立たなくなるほどミユキを求めてしまい無理をさせ、すまないと思いながらも恥ずかしく顔が上げられないミユキに俺は煽られ下半身が熱くなりそうで、簡単に自分の体を拭き、ミユキをサッサと抱えてベットに寝かせ視界から隠す。
「ヒロ、服は?」
「いらない、このまま抱いて寝るほうがいいよ」
ミユキが何やら百面相をしながら考えている間にミユキの隣に滑り込み腕の中に収める。
「ミユキが俺の腕の中にいる。体温を感じてると幸せを感じる。いいなぁ、ミユキのいい匂いがするよ」
「ヒロ、ありがとう」
もう離れたくない、自分の腕の中に好きな人のぬくもりを感じ、うれしいと頬を濡らす姿が愛しい。愛しいと思える温もりがこんなにも自分の心を安心させ、穏やかにするものなんだと、今迄俺が感じていたぬくもりなどただ暖かいと感じていただけなのだと。空しさしか残らなかったはずだとそしてやっと見つけた自分だけのかけがえのない人にはいつも笑顔でいてほしいと。
「ミユキ、泣かないで、笑って」
そっと瞼に触れる唇に優しさをのせて。
作品名:道化師 Part 2 作家名:友紀