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子供でもいいかもしれない

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子供でもいいかもしれない



二人の間に不思議な感覚が流れていく。
緊張と安心と不安が混ざったような・・・。
「ごまかし続けるのか?」
「あんたにしては珍しく解りきった事を聞くんだな?」
「お前には無理そうだと思ったからな」
からかいを含んだ言葉なのに、俺を見つめる彼の目は寂しそうだった。
『そんな目で見るな!!』
泣きそうになる自分が悔しい!!
そんな俺の髪に指をくぐらせ、優しく自分の胸に頭を引き寄せるこの男の仕草に腹が立つ!
なのに、そんな男にしがみつき泣くことしか出来ない俺自身が情けなくもあり、可愛くもある。
大人には敵わない。まだ子供でいてもいいのだと自分を抱く大きな体が言ってくれてるようで安心する。
気持ちが落ち着いてくると、この男の腕の中が恥ずかしくて居心地が悪くなってくる。
木島の胸に手をつき、顔を上げ身体を離す。意外とすんなりと俺から離れていく腕に少しだが寂しさを感じる。
「そんな顔するな」
離れた腕が上がり俺の顎に添えられ親指が唇をなぞる。
何故か俺は、腕を払う事も出来ずされるがままに瞼を閉じ、その感触に酔っていたような気がする。
労わるような指の動きに心が安らいでいく。でも、優しさだけでなく俺を確実に官能の世界に引きずり込んでいくから侮れない。
鋭い感覚に意識が浮上した時には、俺はベットの上で木島に翻弄され、なすがままに身を任せていたのだから・・・。
どんな男より身体だけでなく心も満たしていく。
俺の耳に紡がれる言葉が何もかも解ってるかのように自信満々に俺を操り、心も身体も溶かしていく。
いつ終わったのかも解らない。いつ眠ったのかも解らない。
体がだるい・・・だが、久しぶりにぐっすりと眠ったような気がする。気分はいい。ベットには俺だけ、木島はどこに行ったのだろう。
まぁ~いいか.......もう少し布団に埋もれていよう。この布団は嫌じゃない......木島の匂いだろうか........不思議だ..........嫌じゃないんだ.......



作品名:子供でもいいかもしれない 作家名:友紀