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関西夫夫 ポピー2

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「今日は六甲山やった。午後からやったから、それほど回れる時間もなかったんでな。明日は港付近とか中華街とかやったかな。」
「ああ、中華街か。」
「明日は中華や。ここの中華は有名らしい。」
「さよか。」
「わし、明日は朝のうちに仕事して合流する。月曜は任せるで? 」
「了解。」
「みっちゃん、肉は食おう。なんぼなんでも、一個はあかんやろ? もうちょっと食うとこ。」
「まだ食えてか? もう腹大きいねんけどなあ。」
「そう言いなや。これ、ええ肉なんや。」
 一切れしか食わなかったら、無理くりに肉は食わされた。確かに美味いんやろーけど、脂っぽくて腹にくる。俺の好みではない。そうこうしてたら、中部の人間が酌にやってきた。まあ、一杯、とかビール瓶を傾けるので佐味田さんが受けている。しゃーないなーと東川さんが席を立ち、相手のほうへ酌に出向いた。その席へ、どっかりと座りよった。
「浪速さん、もう食べないんですか? 」
「はあ、俺、それほど食いませんねん。そっちは、どんどんやってください。」
「それ、コークハイかなんかですか? 」
「いや、レイコ。」
「玲子? 」
「冷たいコーヒーを関西では、冷コって略して言いますんや。」
「変わってますねー浪速さん。」
「え、そうですか? 」
「常務も専務も浪速さんが来たら、構ってますよね? あれって噂通りなんですか? 」
「沢野の元愛人ってやつやったら、ちゃいますで? 俺、あの人にケツ貸したことはないから。あれは堀内と遊んでるだけですわ。本社では、そんなに噂になってますか? 」
「まあ、浪速さんが来られるたびに、騒ぎになりますから。社長から、そこを確認してこい、とは命じられました。」
「あははは・・・・あの人ら、俺の取り合いしてるフリして遊んでるんですわ。堀内がムキになって確保するから楽しいんとちゃいますか? 」
 実際は、俺を取り合いしているフリをして俺を隔離しているらしい。おかしなことを言うと危ないと思われている。なんせ、一回、「やめたるわい。」 と、宣言しているから沢野も堀内も、それは阻止の方向や。一応、今回は、このぼんくらの相手をしたら、お手当てを出す、と、言うてたから、穏便に付き合うつもりはしてた。てか、社長は、何を狙ってんねや?と、内心で首を傾げる。俺を取り込むつもりでも考えたんやとしたら、それこそ意味がない。
 レイコがなくなったので、追加を頼んだら、次のぼんくらが座りに来る。同じことを繰り返すので面倒やったが、キレずに対応はしておいた。
「社長が、俺のケツを借りたいんやったら断っといて。俺、さすがに堀内にシバかれるんは勘弁や。あのおっさん、そういうことすると、しつこいねん。ネチネチと電話してきて文句垂れるんやから。付き合うの面倒や。」
「それ、普段から、そうなんですか? 」
「ああ、割と電話かかってくるで? おっさん、仕事の時は、きっちりしてるけどプライベートはちゃうからなあ。・・・・くくくくく・・・夜の話もいるか? 」
「いえいえ、滅相もないっっ。」
「部長、酔ってないのにからかったら、あきませんで? 」
 嘉藤が。適当なとこで止めてくれたんで、しつこい質問も終わった。二時間付き合ったので、そろそろ帰ります、と、俺と東川さんは席を外れる。


 ロビーまで降りてきたら添乗員さんがやってきた。これから、あの酔っ払いを、呑みに連れ出すために待機している。どうせ女を買うなりするんで、ホテルの中ではできないからや。
「ほな、後は任せますわ。佐味田と嘉藤は同行しますんで。」
「はい、承りました。明日も、同時刻にホテルにお願いします。」
 俺と東川さんは帰宅することになってるので、ここからタクシーで帰る。東川さんは家まで帰るので、駅までは乗せてもらうことにした。道中でタクシーチケットなるものを見せてもらった。明日、それで支払いができるので俺の金はいらんという有り難いチケットや。 
 駅で降ろしてもろて電話したら、近くにおったらしい俺の旦那は、すぐにやってきた。コンビニで適当に、おやつと飲み物を買ってビジホに入った。まあ、久しぶりに後を考えんでええから、いろいろとねっとりと亭主にやられたのは言うまでもない。
作品名:関西夫夫 ポピー2 作家名:篠義