睡蓮の書 四、知の章
ケオルは、今語ったウシルの性質を、「聖なる言葉」で繰り返す。
その脳裏には、“ルウティ・レクウィ”の指し示す図が、そのまま鮮やかに浮かべられる。
未来を見る獅子――現れ出でる日――過去を見る獅子。
「支えとなる左右二神に、己の性質を示す言葉をそれぞれ引き受けさせ、冥王ウシルは今こう呼ばれている。Dsfir(ジョセフイル)と」
そして、その存在を「支え」るものこそ、誰よりも“「知る」双者”rkh-wy《レクウィ》と呼ぶにふさわしい。
「そうだろ、兄貴。――いや」
鋭く研がれた瞳を一度しずかに覆い、ケオルは告げた。
「言語Hw《フゥ》と知性siA《シア》を司るもの――叡智神ヘジュウル、その半身。
……それが、あなたのまことの名だ」
作品名:睡蓮の書 四、知の章 作家名:文目ゆうき