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月とコンビニ
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スリー・デッド・ワード

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『スリー・デッド・ワード』

【著】ぼぶ


○登場人物【3人】
・夜が好き(遠夜 トウヤ)
・生まれ変わっても一途(生恋 ショウコ)
・空好き地面嫌い (地空 チソラ)

【1】始まり
●三人がそれぞれ立っている。最初にトウヤが語りだす

トウヤ 真っ暗な世界を嫌う人が多い。でも人工的な光源があるからみんなは怖がらずに外へ出れる。朝があれば夜がやってっくる。だから光源は必要なんだ。それは分かっているんだ。光源がない外は真っ暗で恐ろしい世界が広がっている。あそこの陰から何かが出るかもしれない・・・僕の後ろに何かが立っているかもしれない。いや、もしかしたら目の前に・・・そう考えれば考えるほど恐ろしくなってくる。だけど・・・この真っ新な丘で見た景色は一生忘れられない。真っ暗な世界を唯一照らしてくれる月、そんな月が見せてくれた・・・月明かりが照らしたこの街を・・・怖くないのかと聞いてくる子にいつも言ってるんだ・・・そりゃ真っ暗な世界は怖いさ・・・それでも僕は、夜が好き。

●トウヤ ハケ

ショウコ  恋って素敵だと思わない?人間に生まれたからには絶対に味わうことのあるモノで、種類も味も豊富。好きな味もあれば嫌いな味もある。食べ終わってからじゃないと気が付くことのできないモノってのが厄介だけどね・・・それでも求めてしまうのが人の性ってやつなんだろうね。あたしもそうだし。みんな自分に最も相性のいいモノを探してるわけ。でもでもそれに出合うまでいくつのモノ恋をして、笑って泣いて、怒って・・・ああ、最高だったけどこれも違うもので。だけど最高のモノを見つけられても、それが自分のモノになるとは限らないのも・・・辛いよね。それでも求めてしまうから怖くて、それでいて素敵。だから必ずこの言葉を言うの・・・生まれ変わっても、あたしはアンタと恋に落ちるよ

●ショウコ ハケ

チソラ 地面って絶対にどこかしら触れてるよな?どんなに頑張っても触れてしまう。それはもう永年連れ添った夫婦以上にだ。というより一番付き合いが長いんじゃないか?そりゃ母なる大地って言葉が生まれるわけだ。でも俺はそんな地面が嫌で空に憧れたんだろうな。空ばっかり見ちゃって他に何も見てなかった、。だから人付き合いがうまくいかないんだろう。だけどそんな俺にずっと付き合ってくれるやつがいるんだから驚愕してしまう。いや、こんな世界なら仕方ないのかもしれないな。一人じゃ不安で仕方ないもんな。俺は空に旅立とうとしてたのに、こいつのせいでその機会も失った。しかも口癖のように言ってくる言葉が嬉しくてな。でもそんな言葉に流されまいとこう返す・・・知ってるか。空を見ると地面は見えないんだ。

【2】出会い
●チソラ 板付き ショウコ 入り
●チソラが空を見上げながら歩いていると、前を歩いているショウコにぶつかる

チソラ おっとすまん。しまった地面を見てしまった。
ショウコ  ちょっと気を付けなさいよ・・・なんで空なんか見てんのよ
チソラ おー、空がな、好きなんだよ。
ショウコ  ふーん。首、痛くならなの?
チソラ いてぇよ、そりゃ。でも地面が嫌いだら見たくねぇんだ
ショウコ  あんた、変人でしょ?
チソラ ああ、よく言われる。
ショウコ  やっと見つけた・・・
チソラ なんかいったか?
ショウコ  なんでもないわよ!ちょっと着いてきて

●ショウコ、チソラの腕を掴みハケ

【3】終わり
●トウヤ入り 座って窓から外を見ている

トウヤ ここからの風景もいいもんだ。それにしてもショウコ遅いな。いつもならもう
    来てるのに・・・まさか奴らに捕まったんじゃ・・・

●ショウコ チソラ 入り

ショウコ ごっめーん、遅くなった。
トウヤ  何やってたのさ・・・てっきり奴らに捕まったのかと
ショウコ なわけないでしょ。心配しすぎなのよ、アンタは。
トウヤ  そうだけど・・・ところでさっきから上を向きながら窓で空を見上げているあの人は?
ショウコ そうそう、とうとう見つけたのよ。あたしがずっと探し求めてたモノ。
トウヤ  え?それじゃ、あれがそうなの?
ショウコ うん!
トウヤ  へえ・・・名前は?
ショウコ 知らない
チソラ  チソラだ。大っ嫌いな地面の地に、大好きな空の空で地空。
トウヤ 話聞こえてたんだ?さっきから反応なかったから聞いてないと思ったよ
チソラ  普段なら聞こえないんだがな・・・
トウヤ ???
ショウコ  私はショウコよ。生きる恋とかいて生恋。珍しいでしょ
チソラ 知らん
ショウコ  え?酷くない?
トウヤ ははは。僕は遠い夜で遠夜。トウヤって呼んでね。
チソラ  馴れ合うつもりはないぞ。俺はもうすぐ空へ旅立つんだ・・・
ショウコ 知ってるよ。
チソラ  どういうことだ
ショウコ だってアンタから聞いてんだもん
チソラ  ???
トウヤ そうなるのは無理ないよね。僕もショウコから聞くまでは何も覚えてなかったん
    だから
チソラ  どういう意味だ
ショウコ あたし達はもう空に旅立ってるってわけ
チソラ  ・・・死んでるのか?
ショウコ そういうこと。でもまだ天国でも地獄でもないみたい
トウヤ  僕たちを捕まえて消してるやつらがいるんだ
チソラ ・・・消す?捕まえる?
ショウコ  そう、そいつが捕まえてどこに消してるのかはわからないけど、まぁいいところ
     ではないでしょうね。
トウヤ 大概は捕まって消されるけど、それ以外に消える方法があるんだ。確証はないけ
    どね。
チソラ  ちょっと待ってくれ、意味が分からない、それに死んでるとか言われても生き
     てるじゃないか。
トウヤ その混乱もわかるよ。死んだ記憶なんてないんだから。でもショウコが覚えてた
ショウコ  覚えてたって言ってもどんな風になってどう死んだかとかじゃないんだけどね
チソラ なんだよそれ、結局それも確証がないわけか
トウヤ  そうだね
チソラ それで、何を覚えてたんだ?
ショウコ  地面が嫌いで、空が好きな人を覚えていたの。そしてアタシが最後に口にした言葉。
チソラ 俺の好きなもの?君の最後の言葉?
ショウコ  そう、目覚めて最初に覚えてたのはそれだけ。後は何も覚えてない。
トウヤ 僕もほとんど何も覚えてない。自分が好きだったものと名前くらいだった。君も
    覚えてないんじゃないか?
チソラ  ・・・・・・ああ
ショウコ やっぱりそうなんだね。
チソラ  気が付いたらその辺で倒れてた。ここがどこかも知らない。ただ地面が嫌で空
     ばかり見ていた。
ショウコ それを見つけたあたしがアンタがあたしの覚えていた人だと思ったの。
チソラ  なるほど。

●外が騒がしくなる

チソラ なんだ?どうしたんだ?
トウヤ  奴らが来たんだ。もう僕たち以外に残ってないんだ。
チソラ さっき言ってたもう一つの方法ってなんだ?
トウヤ  ああ、そうだね。もう時間がないから手短に話すよ。もう一つの方法は自分が
     死ぬ最後の言葉を言うこと。。これが唯一の方法。
チソラ なんだよそれ、全く意味が分からん。
ショウコ  やっぱりそう思うわよね。