物書き
◇女は携帯電話を取り出し、ボタンを押し、耳に当てながら部屋を出る。
女(声) あ―――――――――――――…。あ―――――――――――――…。(悲痛な声)
◇男は立ち尽くす。
男 俺は昨日夢を見た。女の子の夢だ。それはとても深い眠りに入った一瞬のことだったかもしれない。だが覚えているのは、その時の、ただ一つの台詞だった。「もっと会いに来てね」彼女はそう言って、俺の視界は自室の天井へと移された。
そして、掌には見覚えのない鍵が握られていた。 ……………………。
あ―――――――――――――…。あ―――――――――――――…。
◇暗転。
おわり