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PTAしようよ

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「では、始めます」
先生は 黒板に短いチョークを横倒しにして 大きく字を書いた。
書き終えた先生は 指先についた粉を掌で掃いながら親たちのほうに向きなおると訊きながら答えていきました。

――「二人」の「二」の字の横棒って同じ長さじゃないのは何故でしょう?
たぶん 寄り添い並んでいても どちらかが控えめでいるのがいい形なのですね。

「あら、面白い」数人が 納得したような顔つきで頬を緩めた。

――「人」の字 ひとは支えあっていきてゆくもの?
上ったり下ったり ひと波ごとに 人並みにと努力するのが人なのでしょう。

すると くすっと笑ったお母さんがいた。頭の中のイメージが溢れてしまったようだ。
「どうぞご遠慮なく発表してください」

――「出」って・・・?
くすっ 恥ずかしいけど 気張ったらおならが出そうですよね。

みんなから 笑い声が上がった。赤面しつつ、にこやかなお母さんは楽しそうだった。

――「町」って字は・・・? 
窓から外を眺めて見てるみたい。その風景が町かしら。

――「男」は・・・?
じゃあ、田を窓とみるなら 窓枠に力込めてぶら下がってのぞいてるのね。

――「女」は・・・?
気取って足を組んだり 胡坐をかいたりしてもいいのよ。

――「足」は・・・?
最近、ヨガにはまってるんです。口が腰のあたりで こんなポーズも効くらしいのよ。

――「口」は・・・?
本来丸いのに 角が立つんですよね。気をつけないと (笑)

――「気」は・・・?
いろんな方向に伸びているけれど 肝心なところで〆ないといけませんわね。

――「心」は・・・?
気持ちの器から 零れてしまうこともあるんですね・・・

しんみりとしたお母さんは 何を思ったのか。
「小学一年生は 気もちを習い 小学二年生で 心を習います。子どもの成長を感じますよ」と先生は 優しく微笑んだ。
「なるほど。男と女を一年生習って 父や母は二年生で習うのか。あっ深い意味はないですよ」
お父さんは 何やら慌てた様子。でも お母さんたちは笑うだけだった。 

作品名:PTAしようよ 作家名:甜茶