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レイドリフト・ドラゴンメイド 第19話 思い出の帰還

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 ビルなどがあっても、その都度ポンプでくみ上げればいいはずだ。
 にもかかわらず水は、どれも何十メートルも上がっているように見える。
 しかも、その水はビルの屋上の高さ。ありえない低空でとどまっている。

 雲から火災現場に、強力な水流となって降り注ぐ。
 その時、雲の中から、青い宝石のような輝きが見えた。
 それに伴い、巨大な翼を持つ青い影がうかびあがる。
「竜崎 咢牙」
 シエロが、りゅうざき さいが、とつぶやいた。
 恨みも怒りも込めず、ただ3年B組学級委員長の名を呼んだ。
 あだ名はサイガ。
 実年齢は182歳。
 全長70メートル。
 地中竜のように、前足が翼になった飛竜ではない。
 独立した前足と翼を持つ怪獣、ドラゴン。
 しかも、ボルケーナと同じように、高い知性と無数の能力を持つ、龍神。
 ボルケーナがボルケーニウムを扱うように、サイガの能力を支えるのは、水だ。
 確かに、彼ならつじつまが合う。
 彼は海流や天候さえ操る。

 もう一つ、灰色の大きな影が通る。
「ノーチアサン」
 ホオジロザメのような姿をした、全長170メートルの機械の体。
 召喚された者の中では最大の装甲とバリア、最大のパワーをもつ水泳部部長。
 生徒会の活動拠点も務めた、人工知能を搭載した宇宙戦艦。
 元々は20年前以降に日本政府が雇った、言わば宇宙からの傭兵だ。
 当然、サイガもノーチアサンも普段は人間の姿に擬態している。
 そんな彼らが、あの街で何をしていたのか……。

【シエロ君、カーリ君。もう、記憶は受け取ったはずだよ】
 智慧が言った。
 そう言えば、カーリタースにカーリ君とあだ名をつけたのは、智慧だった。
【受け取った記憶は、時間順に思いだすといいよ】
 シエロは、おびえる心はまだ消えていないが、その指示に従った。
 それが何の役に立つかは、わからないが。
 きっと何かの役に立つと信じて。
 そして、生きる理由ができた。
 なぜ父は、それまで敵であった者のために身を賭ける気になったのか。
 それを聴くまでは、死ねない。