声劇台本「ヒヨコも女神を愛したい」
◎マドンナ「ねぇ。あたしの為なら何でもするの?」
◎ヒヨコ 「んんんんんまあそれなりに……金はないで
すが」
◎マドンナ「そ。じゃあ購買付き合って」
ヒヨコ 「はっ、はい!」
(教室から出て行く2人)
◎友 「……嘘だ……(絶望)」
(購買に場面転換)
◎ヒヨコ 「すごい混んでますね」
◎マドンナ「そうね。いつもこんなかんじよ」
◎ヒヨコ 「そうなんですか? 僕いつもお弁当で……」
◎マドンナ「ふうん。あたし買ってくるから、そこで待
ってて」
ヒヨコ 「えっ?」
(買いに行くマドンナ)
◎ヒヨコ 「何か買わされると思って財布持ってきたの
に……こ、これはあれか。荷物持ち? 購
買に何を売っているかなんて小説の中で出
てくるものしか知らないけれど、伝説のメ
ロンパンとかを持たされるんだろうか」
(戻ってくるマドンナ)
◎マドンナ「おまたせ」
ヒヨコ 「いえ全然! ……って、サンドイッチ?」
◎マドンナ「あら、嫌いだった?」
◎ヒヨコ 「いや……なんで二つ?」
◎マドンナ「あなたと食べるためじゃない?」
◎ヒヨコ 「え゙」
◎マドンナ「行くわよ」
◎ヒヨコ 「い、行くってどこへ……」
(階段に連れてこられるヒヨコくん)
◎ヒヨコ 「階段の踊り場? ええっと……どうしてそ
んな、施しを僕に……」
(サンドイッチを食べ始めるマドンナ)
◎マドンナ「彼氏だからじゃないの?」
ヒヨコ 「……えっ?」
◎マドンナ「え、昨日あなた、あたしに告白したわよ
ね?」
◎ヒヨコ 「ええまあ……情熱的に愛を語りました」
◎マドンナ「あたし、断った?」
◎ヒヨコ 「……いいえ」
◎マドンナ「それが答えよ。来週はバレンタインだか
ら、何か作るわね。何がいい?」
◎ヒヨコ 「……と、とりゅふがいいです」
◎マドンナ「わかった」
(混乱するヒヨコくん)
ヒヨコ 「どうして、僕を」
◎マドンナ「え?」
ヒヨコ 「貴方は、これまでたくさんの男の告白を断
ってきたと聞きました。どうして突然、僕
と。僕だったんですか?」
◎マドンナ「……そうね。好きになれそうだったのと、
これまで告白してきてくれた中で、一番印
象に残ってるからかしら。いい意味でも、
わるい意味でもね」
ヒヨコ 『夢? 夢なのかなこれ? なんか友に殺さ
れそうだ……夜道には気をつけない
と……』
◎マドンナ「本当の理由は、バレンタインに教えてあげ
る。今日からよろしくね、ヒヨコくん」
ヒヨコ 「……はい!」
ヒヨコ 『ああ今なら、彼女の為であれば、僕はきっ
となんでもできる!』
作品名:声劇台本「ヒヨコも女神を愛したい」 作家名:小山望