竜が見た夢――澪姫燈恋――
序章
その国は竜に守られていた
北に大地を司る竜
南に火炎
東が水ならば
西は風
竜は神として在り、人を守る
竜に使えるもの、在り
巫女あるいは巫(かんなぎ)と呼ばれるその者、竜が力の器なり
一つの竜に一人の従者
その者、竜に命を捧ぐ
竜が従者に仕えるもの、また在り
儀式を手伝い、人より従者を護るものを守(もり)と呼ぶ
畏れよ
水に癒され火を用いて創り
大地に知識を求めて風に明日を問え
恐れよ
水は押し流し火炎が破壊する
大地が昨日の悲劇を語れば風が明日の死を告げる
作品名:竜が見た夢――澪姫燈恋―― 作家名:緋水月人