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きみの誕生日に僕はひとつの恋をする

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今朝、ベッドの中の僕に聞こえてきた音。
僕は、窓の外の風景を想像する。


まだ目覚まし時計のアラーム音の鳴らない前に目が覚めた。
怖い夢を見たわけでもなく、誰かに追われて高いところからダイブしたわけでもなく、最近コンビニのバイトに入ったちょっと気になる可愛い女の子とキスする瞬間でもなく、はたっと眠りから離れた僕は、案外すっきりとしていた。
そして、耳に入ってきた音は 雨の音。
「なんだよ、雨降りか」
言葉にしたような、頭の中に文字を綴ったような、そんな感覚でその言葉が出てきた。


確かに雨の音だ。まぁ、梅雨時なのだから、予報通りに雨になっても少しも不思議ではない。どちらかといえば、 天気予報士さん、当たって良かったね。と褒めてあげたい気持ちだ。でも今日は、 間違っていました。ごめんなさい。といってもいいから晴れて欲しかった。


そうそう、その雨の音。目を閉じていても、何かに当たって反響した音が壁の向こう側は雨降りだと伝えてくれる。この早朝から走っている車のタイヤと路面の奏でる音ならなおさら、雨の降り方の強さまで感じさせる。
そして、加えてキィンという音が聞こえる……。 はて、なんだ? 
僕の思考が巡る。想像する。創造する。何も見えないモノを作り上げていくように音の正体を決めていく。
あれかな。それかな。
家の周りを思い浮かべる。
ベランダの手すりに留めたカラスよけのネット? いやそれとは違う。
僕の寝ている横の窓のほうだ。
窓といっても 上側を室内側に倒して開く内倒し窓で 僕はそこから外の景色を見ることはほとんどなく、入居したときに覗いて壁だけしかないことを確認したくらいだ。
それに 雨の日にわざわざその窓を開けて 音の正体を知ろうとは思わなかった。

やや重い体を起こした。昨日の仕事の疲れが残っているようだ。
自分でも少々情けないと思うことがある。
でも、今日はそんなことを感じていてはいられないのだ。
雨降りだろうが、疲れで体がだるく重かろうが、出かけるまでの時間に気持ちも体もはつらつと変わるのだ。