初めまして、ラピスさん。
『ラピスはよく私の膝の上にお尻を乗せて座っていました。その時の匂いに似てます。』
と来た。
すると上が、
『今日は四十九日なのではないですか。』
と言って来たので、その事をひろみさんへと届けた。
しばらくして返事が来た。
『今、数えてみたら、今日が四十九日です。寂しいのかな~。』
と。
続けて上が、
『一週間…、七日間その香りはしますが、八日目にはなくなります。ひろみさんの思いを…ではなく、この子が寂しがってるからです。』
と言った。
そのままひろみさんへと伝えた。
そして八日目に全く匂いはなくなったとの事だった。
それからまた一ヶ月か二ヶ月か経った頃、山梨をドライブしていた。
その日、ひろみさんはゆきのの所へと行っていた。
ドライブ中、ずっとゆきのに、
『会いに来て。』
と言われ続けていたから、夕方くらいに急きょ行く事になった。
そしてゆきのの所へと着いた。
駐車場に車を止めたら、ひろみさんが迎えに来た。
こんなにいろいろ起こっているのに、その時ひろみさんと会うのは二度目だった。
それから何度かひろみさんに会う機会が増え、十二月のラピスの事を聞いた。
十二月にひろみさんからのメールでラピスの事を聞かれた。
その次の日、ひろみさんはラピスの側にずっといて、インターホンが鳴り、出ると宅急便だった。
荷物を受け取りリビングへ戻って、コーヒーでも飲もうと思ってコーヒーを入れようと…。
“あっ、ラピス。”
と思い出して戻ったら、もう息をしていなかった…。
という事だった。
そう話してくれたから、私も今までの事実を話した。
その時のラピスの気持ちも伝えた。
『ママがいなくなった隙に急いで死んだ。』
と言っていた事や、
『子どもたちが来るまでとママは思ってたけど、子どもたちが来たらまた頑張ってしまうから…。もう足が痛くて辛くて耐えられなかった。』
という事を伝えた。
だから上が年を越せるか…と言っていたのかとこの時分かった。
もしその時に子どもたちが来ていたら、年を越していたのかもしれない…。
そして、あの日に上の世界で本気で走っているラピスの姿が見えた事も伝えた。
ひろみさんは時折寂しそうな表情をするけど、何処かホッとして話をしていた。
それからまたある日、上の世界の何処からともなく遠吠えが聞こえた。
私は一人、
『何事?!何事?!』
と家の中で慌てていた。
何分、リップは遠吠えをするやつじゃなかったから、犬の遠吠えなんてそう聞いて来たわけじゃないから、どう反応していいやらで参った参った。
遠吠えをするとは聞いていたけど…、変わった育て方のひろみさん…。
遠吠えのする所を見てみたら、草原や丘の迫り上がった所で背中を反らせて口を空に向けて、
『ワオーーーーーーーーーーン。』
と吠えている犬を発見。
狼のように見えるけど、ボルゾイらしい。
こんな状況をメールで伝えるなんて…、なんか恥ずかしい…。
でも一応お伝えした。
『誰だろう?どの仔が吠えてるんだろう?』
と当たり前のような返事が来たから、そこにも驚いた。
そこまでは私も分からない。
そしてひろみさんから説明が来た。
『石焼き芋の車が通ると吠えてましたね~。“い~しや~きいも~。”に合わせて…。』
と。
すると上が、
『上にも石焼き芋屋さんがあるのかもしれませんね。』
と言ったので、そのまま伝えた。
その話があってからひろみさんに会った時に、私が遠吠えするボルゾイのマネをしてひろみさんが誰の声かを当てている。
結局、私はボルゾイに会えなかった…
なので触れていない…。
だから、ひろみさんが、
『シャドーかな~?!ラピスかな~?!ルチル(本名)かな~?!』
なんて言っても私は、
『正解!!』
とは言えないのだった。
そして相変わらずエアーボルゾイ止まりとなっている。
本当の“初めまして。”になるのはいつ訪れる事やら…。
作品名:初めまして、ラピスさん。 作家名:きんぎょ日和