目黒さんの心霊的事件簿ファイル
目黒さんの心霊的事件屋上相談室
この世の中には常識では通じない事が多々ある。
例えば、裏の世界に通じる職業の方々に何か仮を作ったりすると倍以上で返さなきゃいけないとかもしかしたら死ぬとか。これくらいしか思いつかないからこのくらいかもしれないけど。
これは常識というものを持ち出しても何故か通じない。
その他にも、非現実的なもので常識が通じないものも存在する。
例えば目黒さん。
彼女は、この世の者ではない物の姿が見えるし聞こえるし会話もできる。
それに対して僕は見ることが、できる、だけ。聞こえもしないし会話もできない。その上、いる、という事が確定もしくは予感できなければハッキリと認識ができない役立たずなのだ。
何故僕が目黒さんと出会ったかは偶然のような必然だった。
目黒さんは、必ずと言ってもいい程天気がいい暖かい気持ちのいい日には屋上にいる。それもあたかも自分の所有地かのようにパラソルを立てて、日光浴をするような椅子とベッドの横に置かれるような小さなテーブルを屋上に私物として置いている。
何処から持ってきたのかはわからないが、目黒さんが1人でこれを持ってきて屋上まで運ぶ所は想像できない。恐らく、ずっと前からあったものだろう。パラソルの塗装は所々はがれていて、布の部分は日焼けで薄くなっている。テーブルの金属の部分はメッキが剥がれ、安っぽさ全開だ。椅子はプラスチックのようなものが網状にできているので所々雨風に晒された所為で割れている。
ちなみに彼女は。パラソルを広げ、テーブルと椅子を並べるが僕は一度も彼女が椅子に座り、テーブルで書物を書いたり何かを置いたりしたのを見たことはない。彼女曰く、パラソルもテーブルも椅子も、ディスプレイの一部だと考えてるのだろう。それっぽく見る。それが彼女にとっては大事なことだとは思う。だが彼女のプライドは、雰囲気よりも勝っているので常に目黒さんは屋上の柵にもたれかかって、1人青空を見上げ物思いにふけるのだ。
“どうすれば、感じなくなるのか”と
作品名:目黒さんの心霊的事件簿ファイル 作家名:むいこ