更新日時:2016-06-08 13:33:48
投稿日時:2016-06-08 13:33:06
その目に魅せられて
作者: 楡井英夫
カテゴリー :怪奇・ホラー小説
総ページ数:3ページ [完結]
公開設定:公開
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著者の作品紹介
「私がわからないの。わたしの目を見て」
すると、闇夜に彼女の目がぽっかりと浮かんだ。彼は思わず携帯を落とした。
――そのとき目を覚ました。今まで見たこともない恐ろしい悪夢に田中は震えがとまらなかった。
田中の知人が、「それから、どうしかって? 知りたいかい?」と聞くと、
私は思わずうなずいた。
「田中は生きているよ。とうとう狂ってしまったがね。サラの写真を持っていてぼんやりと佇んでいるのを発見された。その時は既に自分が何者かを全く忘れていた。このことから一片の教訓でも感じとれるかい? 」
「それはない。思わず、シェークスピアの劇、ベニスの商人だったかな。『その目に見られて私の心は二つに裂かれてしまった、半分はあなたのもの、残りの半分もあなたのもの』というセリフを思い出したよ。女の目を信じちゃいけない。あれは男を騙す道具だ。でも、田中の話は君の作り話だろ?」
すると、闇夜に彼女の目がぽっかりと浮かんだ。彼は思わず携帯を落とした。
――そのとき目を覚ました。今まで見たこともない恐ろしい悪夢に田中は震えがとまらなかった。
田中の知人が、「それから、どうしかって? 知りたいかい?」と聞くと、
私は思わずうなずいた。
「田中は生きているよ。とうとう狂ってしまったがね。サラの写真を持っていてぼんやりと佇んでいるのを発見された。その時は既に自分が何者かを全く忘れていた。このことから一片の教訓でも感じとれるかい? 」
「それはない。思わず、シェークスピアの劇、ベニスの商人だったかな。『その目に見られて私の心は二つに裂かれてしまった、半分はあなたのもの、残りの半分もあなたのもの』というセリフを思い出したよ。女の目を信じちゃいけない。あれは男を騙す道具だ。でも、田中の話は君の作り話だろ?」